Nouvelles Annales de Mathématiques

フランスの数学界において重要な役割を果たした学術雑誌に、『Nouvelles Annales de Mathématiques』があります。この雑誌は、1842年にオルリー・テルケムとカミーユ＝クリストフ・ジェロノという二人の数学者によって創刊されました。副題には「Journal des candidats aux écoles polytechnique et normale」と冠されており、これはエコール・ポリテクニークやエコール・ノルマルといった高等教育機関への受験生を主な読者層として想定していたことを示唆しています。

刊行は長期にわたり、1842年から1927年まで約85年間にわたって継続されました。創刊者の指揮の下、後年にはシャルル＝アンジュ・レザンやラウル・ブリカールといった数学者も編集陣に加わり、雑誌の質と内容を維持・発展させました。

出版社については、初期はカリリアン＝グーリ（Carilian-Goeury）が担い、後期の刊行はバシュリエ（Bachelier）が行いました。出版社の変更はあったものの、雑誌の安定した刊行を支えました。

同時期には、オルリー・テルケムも関与していたジョゼフ・リウヴィルが発行する『Journal de Mathématiques Pures et Appliquées』という別の主要な数学雑誌が存在しました。両誌は数学という主題において競合する側面がありましたが、『Nouvelles Annales de Mathématiques』の編集者は、『Journal de Mathématiques Pures et Appliquées』とも協力関係を築き、両方の雑誌を導くような立ち位置にいました。異なる出版社から刊行されていたにもかかわらず、編集者間の連携が見られたことは特筆すべき点です。

『Nouvelles Annales de Mathématiques』の特徴の一つは、その収録内容の幅広さです。純粋な数学研究論文だけでなく、算術や数学教育に関する実践的な話題も多く取り上げられていました。さらに、他の学術雑誌に掲載された重要な論文の要約や抜粋も積極的に掲載しており、読者が幅広い数学の知識に触れることができるように配慮されていました。このような内容は、特に副題が示すような、教育機関への進学を目指す若い数学徒にとって、学習の一助となるものであったと考えられます。雑誌は、当時のフランス数学界の動向を知る上で貴重な資料となっています。

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