OAO (人工衛星)

OAO（軌道上天文台）

OAO（Orbiting Astronomical Observatory）とは、NASAが1966年から1972年にかけて打ち上げた宇宙望遠鏡のシリーズを指します。このプロジェクトは、宇宙の観測を地上ではなく宇宙から行うことの重要性を証明し、後のハッブル宇宙望遠鏡の開発と運用に繋がる基盤を築きました。

OAO1号

最初のOAO1号（OAO-1）は1966年4月8日に打ち上げられました。この宇宙望遠鏡には、紫外線やX線、ガンマ線の放射を検知するための各種機器が搭載されていました。しかし、打ち上げは成功したものの、機器を稼働させる前に電源系に故障が生じたため、残念ながら3日後にミッションは終了してしまいました。

OAO2号

OAO2号（OAO-2）は、1968年12月7日に打ち上げられました。この望遠鏡は、11台の紫外線望遠鏡を搭載し、1973年1月まで観測を続けることができました。功績としては、彗星が巨大な水素のハロに覆われていることを発見したり、新星の観測において可視光量が減少する際に紫外線量が増加することを確認するなど、多くの重要な天文学的発見に貢献しました。

OAO-B

次に計画されたOAO-Bは、38インチの紫外線望遠鏡を搭載し、従来の観測よりも微弱な天体のスペクトルデータを取得することを目指していました。しかし、1970年11月3日の打ち上げで、ロケットが衛星との分離に失敗し、人工衛星は地球の大気圏に再突入してしまいました。このため、OAO-Bのミッションは残念ながら完了することができませんでした。

OAO3号（コペルニクス）

OAO3号（OAO-3）は1972年8月21日に打ち上げられ、NASAとイギリスの科学技術研究協議会との共同プロジェクトとして進められました。この宇宙望遠鏡には、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンが製作したX線感知器とプリンストン大学が開発した紫外線望遠鏡が搭載されました。また、この望遠鏡はニコラウス・コペルニクスの生誕500年を記念して「コペルニクス」と名付けられました。

コペルニクスは1981年2月まで運用され、数百の星の高解像度スペクトルデータや広域X線観測データを提供しました。この観測によって、いくつかの長周期パルサーの発見など、天文学における重要な成果をあげました。

OAOシリーズは、宇宙からの観測の重要性を広く一般に知らしめただけでなく、未来の宇宙探査技術への道筋をつけたプロジェクトでもあります。これらの望遠鏡が成し遂げた数々の業績は現代の天文学研究においても非常に意義深いものとなっています。

参考文献

• - Code A.D., Houck T.E., McNall J.F., Bless R.C., Lillie C.F. (1970), Ultraviolet Photometry from the Orbiting Astronomical Observatory. I. Instrumentation and Operation, Astrophysical Journal, v. 161, p.377
• - Rogerson J.B., Spitzer L., Drake J.F., Dressler K., Jenkins E.B., Morton D.C. (1973), Spectrophotometric Results from the Copernicus Satellite. I. Instrumentation and Performance, Astrophysical Journal, v. 181, p. L97

外部リンク

• - OAO-1 の詳細
• - OAO の公式資料
• - OAO の百科事典ページ
• - コペルニクスの詳細
• - コペルニクスのアーカイブ

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