OBSOLETE

『OBSOLETE』：近未来のロボット戦争と、その背後にある謎

『OBSOLETE』（オブソリート）は、虚淵玄による原案、武右ェ門による制作でYouTube Originalsとして配信された日本のWebアニメーション作品です。全12話、1話約12分のオムニバス形式で構成され、2019年12月と2020年12月にそれぞれ前編、後編が公開されました。近未来を舞台に、異星人との交易によって生じた汎用人型ロボット「エグゾフレーム」の普及とその影響、そして世界規模の紛争を描いた、緻密な設定とリアルな描写が特徴の作品となっています。

企画の背景

本作の企画は、従来のロボットプラモデルの可動範囲の制約を打破し、どんなポーズでもその造形美を保つことができるプラモデルを作りたいという発想から始まりました。虚淵玄は、少年時代に観たロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』や『装甲騎兵ボトムズ』で描かれた、損傷し、使い捨てられるロボットの姿に強い衝撃を受けたと語っています。近年のロボットアニメでは「壊れる」ロボットが少なくなったことで、「道具としての魅力」が失われたと感じた虚淵は、本作で「壊れて、使い捨てられていくロボット」を描くことを目指しました。

舞台を2014年以降の現代および近未来に設定した理由は、見慣れた風景の中にリアルなロボットが登場することで、より強い不気味さを表現するためです。監督の白土晴一との協議を経て、地球の資源のうち、人類に影響を与えないものを異星人が求めているという設定が採用されました。

作品世界の時系列と物語

2014年、突如として現れた異星人「ペドラー」は、石灰岩1トンと引き換えにエグゾフレームを提供することを提案します。主要国は自国産業保護を理由にエグゾフレームの輸入・利用を制限する「ザンクトガレン協定」を締結しますが、アフリカ諸国を中心にエグゾフレームは急速に普及していきます。

2015年にはアンゴラで勃発した紛争でアメリカ軍がエグゾフレームと交戦し敗北、エグゾフレームの軍事利用の可能性が世界的に注目されるようになります。その後、インドがザンクトガレン協定から離脱しエグゾフレームを軍用として導入するなど、世界各地でエグゾフレームを用いた紛争が激化。少年兵がエグゾフレームの操縦者として利用される悲惨な状況も描かれています。

2017年にはエグゾフレームを採用した国々が経済発展を遂げる一方、協定締結国は不況に陥り、世界的な政情不安が生じます。エグゾフレームを使ったテロも増加し、民間[[軍事会社]]も台頭してきます。

2021年にはザンクトガレン協定への反対運動が活発化し、アザニア共和国がエグゾフレームを大規模に採用します。一方、日本ではエグゾフレームを題材にした美少女ロボットアニメがヒットするなど、社会への影響も多岐に渡ります。

2022年には、エグゾフレームの技術解明は失敗に終わりますが、アメリカでは海兵隊が極秘裏に軍事用エグゾフレームの開発を進めます。

2023年にはエクアドルとペルーの国境紛争にアメリカが介入、2025年には南米でエグゾフレームを使った麻薬カルテルの紛争が激化し、アメリカへの不法入国や麻薬流入も増加します。先進国は長期的な経済不況に陥り、国際秩序は混乱を極めます。

2030年には、エグゾフレームが海洋開発にも利用され、新たな紛争が勃発します。

登場人物

本作には、アメリカ海兵隊のボウマン大尉、日系人のミヤジマ中尉、民間[[軍事会社]]に潜入するレブナー中尉など、様々な国籍と立場の人物が登場します。エグゾフレームの運用技術を各地に伝授する謎の人物、ザーヒルとその部隊「アウトキャスト・ブリゲード」、アザニア共和国の大統領レシャップなども重要な役割を果たしています。

エグゾフレームとそのバリエーション

エグゾフレームは、異星人の技術によって作られた汎用人型機械です。動力源は謎の青い液体であり、高い出力と整備性、そして過酷な環境下でも稼働できる高い耐久性を備えています。損傷しても容易に修復できるモジュール構造も特徴です。

物語の中では、アメリカ海兵隊の試作機「トード」、アウトキャスト・ブリゲードが使用する「オバンボ」、インド軍の「メガドゥート」、パキスタン軍の「ジブラルタル」、民間[[軍事会社]]のもの、そして様々な改造・改良が施されたエグゾフレームが登場し、それぞれのデザインや武装、性能が詳細に描写されています。

その他

本作は、プラモデルキットやコミカライズ、書籍なども展開され、多角的なメディアミックス展開が行われました。緻密な設定とリアルな描写、そして多様なキャラクターと世界観は、多くのファンを魅了しました。

まとめ

『OBSOLETE』は、近未来のロボット戦争という普遍的なテーマを、リアリティと緻密な設定、そして独特の視点で描いた、高い完成度のWebアニメーションです。エグゾフレームという革新的な兵器と、それを取り巻く人間のドラマ、そして世界の混乱が複雑に絡み合い、視聴者に深い印象を与えます。ロボットアニメの枠を超えた、新たな可能性を示唆する意欲作と言えるでしょう。

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