OGLE-2016-BLG-1928

OGLE-2016-BLG-1928

OGLE-2016-BLG-1928は、太陽系外に存在する惑星の一つですが、特定の恒星の重力に束縛されずに宇宙空間を漂う「自由浮遊惑星」として知られています。この天体は2020年にその存在が公表されました。

その発見には、遠方の恒星や銀河からの光が、手前にある天体の重力によって一時的に曲げられ、増幅される現象である「重力マイクロレンズ効果」が用いられました。特に、Optical Gravitational Lensing Experiment（OGLE）プロジェクトによる観測データが解析され、OGLE-2016-BLG-1928が引き起こしたマイクロレンズ現象が捉えられました。

重力マイクロレンズ現象の持続時間は、原因となる天体の質量や、地球からの距離、相対速度などに影響されますが、一般的に天体の質量が小さいほど短くなる傾向があります。OGLE-2016-BLG-1928が観測されたマイクロレンズ現象は、わずか41.5分間という、非常に短い時間しか続きませんでした。これは、これまでに観測されたマイクロレンズ現象の中でも、際立って短い事例の一つです。

この短い現象の継続時間から、OGLE-2016-BLG-1928は非常に小さな質量を持つ天体であると推定されました。具体的には、その質量は木星の約0.0009倍、すなわち地球の質量と比較してもかなり小さく、太陽系の惑星では火星と同程度の質量を持つと考えられています。この推定質量は、発見が公表された当時において、重力マイクロレンズ法によって確認された自由浮遊惑星の中では最も小さいものでした。

さらに、観測されたマイクロレンズ現象の詳細な解析から、OGLE-2016-BLG-1928の周囲、少なくとも8天文単位（地球と太陽の平均距離の8倍）の範囲内には、目立った恒星が存在しないことが明らかになりました。このことは、この天体が特定の恒星の周りを回る通常の惑星ではなく、文字通り恒星系から独立して宇宙空間を旅している自由浮遊惑星であることを強く示唆しています。

OGLE-2016-BLG-1928の発見は、恒星の周りを公転しない、地球や火星のような比較的軽い質量の惑星が、宇宙に多数存在する可能性を示唆する重要な事例です。このような天体は自らの光を持たないため、通常の望遠鏡による観測は極めて困難であり、重力マイクロレンズ法のような特殊な観測手法がその探索には欠かせません。OGLE-2016-BLG-1928は、こうした小型の自由浮遊惑星の存在とその性質を探る研究において、貴重なデータを提供しています。

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