OH-58 (航空機)

OH-58 カイオワ（Kiowa）

OH-58カイオワは、アメリカ陸軍における重要な観測ヘリコプターであり、ベル・ヘリコプターが開発した機体です。このヘリコプターは、観測だけでなく戦闘任務にも使用される多用途の航空機として広く知られています。カイオワという名称は、北米の先住民カイオワ族に由来しています。

開発の背景

1950年代中期、アメリカ陸軍は新しい軽観測ヘリコプター（LOH）の導入を目指しており、従来のH-13スーの後継機としての開発が進められました。この計画には多くのメーカーが参加し、22の設計案が提出されました。その中からベル・ヘリコプターの「モデル206」などが選ばれ、試作機が製造されることとなります。

1965年には、ベルの「モデル206」が「OH-6」として採用されましたが、1968年に導入されたOH-58Aカイオワには、さらに新しい設計が施されました。この機体は、ベトナム戦争に早期に投入され、その能力をアメリカ陸軍に示しました。

OH-58シリーズの進化

1970年代後半には、光学センサーを装備したAH-64アパッチの登場により、これまでの観測ヘリコプターの存在が危ぶまれるようになりました。そのため、陸軍は救済策として陸軍ヘリコプター改善計画（AHIP）を開始しました。このプログラムの下、OH-58Aは大規模な改修が施され、より高性能なOH-58Dカイオワ・ウォリアが誕生しました。

OH-58Dでは、主ローターのブレードが複合材料製に変更され、様々な最新装備が追加されました。1985年からの引き渡し開始後、OH-58Dは様々な任務に就いてきました。

多目的軽ヘリコプター計画（MPLH）

アメリカ陸軍は、OH-58Dのさらなる改修計画を進めており、多目的軽ヘリコプター（MPLH）プログラムが提案されています。この計画では、折り畳み式の構造と機外固定具の装備が検討されていますが、具体的な実施計画には至っていません。

OH-58の後継機計画

しかし、OH-58シリーズは老朽化が進み、他の最新航空機の登場により能力が劣る状況となっています。イラク戦争やアフガニスタン紛争では、30機以上の損失が生じたため、今後の後継機選定が重要視されています。

2008年には新型偵察ヘリコプターARH-70の導入が検討されましたが、製造費用の問題からその計画は中止されました。その後、残存するOH-58Dの改修が進められ、2012年に新型のOH-58Fが初飛行しました。

派生型と国際的な運用

OH-58A、OH-58B（オーストリア向け）、OH-58C、OH-58D、OH-58D(I)など多くの派生型が存在し、それぞれ異なる能力を持っています。オーストリア、クロアチア、台湾、ドミニカ共和国など、世界中の6か国において運用されています。

結論

OH-58カイオワは、数十年にわたりアメリカ陸軍の中核を担ってきたヘリコプターです。多用途性と改善された技術を兼ね備えたこの機体は、未来の戦場においても期待される役割を果たし続けるでしょう。

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