OH-6DAえびの墜落事故

OH-6DAえびの墜落事故の概要

2015年2月12日、宮崎県えびの市で、海上自衛隊のOH-6DAヘリコプターが墜落する事故が発生しました。この事故により、3名の隊員が殉職するという痛ましい結果となりました。

事故が発生した時刻は午前11時05分以降、場所はえびの市の滝下山でした。当時、海上自衛隊鹿屋航空基地所属の第211教育航空隊のOH-6DAヘリコプターは、訓練飛行中でした。鹿児島県北部の伊佐市上空で消息を絶ち、翌13日にえびの市の山中で機体と隊員3名の遺体が発見されました。同年8月7日、鹿屋航空基地は事故原因を、機長の「空間識失調」であると発表しました。

事故の経緯

事故当時の状況を詳しく見ていきましょう。

当該機には、機長兼教官のA三等海佐（当時39歳）、同乗者のB三等海佐（40代）、操縦訓練生のC二等海曹（20代）の計3名が搭乗していました。A三佐は2500時間超、B三佐は4000時間超の飛行時間を持つベテランパイロットでした。

当初、訓練は薩摩半島を経由して北上する予定でしたが、鹿児島県出水市付近の天候不良により、えびの市上空を通過して大隅半島を南下するルートに変更されました。

事故発生から機体発見までの経緯は以下の通りです。

2月12日
9時19分：鹿屋基地を離陸し、学生の航法訓練を開始。
11時05分：鹿児島県伊佐市上空にいる旨を交信。これが最後の交信となる。
11時07分：航空自衛隊のレーダーから機影が消失し、行方不明となる。
12時20分頃：燃料が尽きると予想される飛行可能時間。
18時09分：日没のため、上空からの捜索を中断。
21時00分：濃霧のため、陸上からの捜索も中断。
2月13日
9時18分：航空自衛隊のUH-60Jがえびの市の山中で機体を発見。
12時07分：機体周辺で発見された隊員3名の死亡が確認された。

機体発見と遺体回収

12日午前11時5分に伊佐市上空付近を飛行しているという通信を最後に連絡が途絶えたため、自衛隊と警察は、航空自衛隊のレーダーからヘリの機影が消えた地点付近の捜索を開始しました。13日、航空自衛隊のヘリが墜落した機体を発見しました。機体は機首を谷側に向け、大破した状態でした。同日中に3名の遺体が回収され、検視の結果、死因は外傷性ショック死と判断されました。墜落時の強い衝撃が原因とみられています。墜落した機体の回収は16日に完了しました。

事故原因の究明

海上自衛隊は、機体発見と同時に事故調査委員会を立ち上げ、原因の究明にあたりました。

2015年8月7日、海上自衛隊は、悪天候下で機長が「空間識失調」に陥ったことが事故の原因であると発表しました。空間識失調とは、飛行中に自分の位置や姿勢、運動状態を正確に把握できなくなる現象で、パイロットの判断能力を著しく低下させる危険な状態です。この事故は、悪天候下での飛行におけるリスクと、パイロットの訓練の重要性を改めて示唆するものでした。

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