OJUN

O JUN（おう じゅん）は、1956年東京都に生まれた日本の画家です。彼はミヅマアートギャラリーに所属し、国内外で精力的に作品を発表しています。彼の作品は、日常で見慣れた風景や出来事の断片を想起させるような場面、記号化された図像、そして画面の余白を大胆に用いる構成が特徴です。また、作品を縁取る重厚な鉄製のフレームとガラス板も、彼の作品に独特の存在感を与えています。

O JUNは、1980年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、1982年には同大学大学院美術研究科油画専攻修士課程を修了しました。その後、1984年から1985年にかけてスペイン（バルセロナ）、1990年から1994年までドイツ（デュッセルドルフ）に滞在し、海外での制作活動も積極的に行ってきました。これらの海外での経験は、彼の作品に多様な影響を与えていると考えられます。

教育者としても、O JUNは東京藝術大学美術学部油画科で長年にわたり教鞭を執り、2009年度から准教授、その後教授を務めました。2022年度からは、多摩美術大学絵画科油画専攻の客員教授として、後進の育成にも力を注いでいます。彼の指導を受けた多くの学生たちが、現代美術の分野で活躍しています。

O JUNの作品は、一見すると抽象的にも見えますが、よく見ると見覚えのあるような、またはどこかで聞いたことがあるような事象の断片が組み合わされています。それはまるで、夢の中で見た光景を再現したかのようです。記号化された図像は、特定の意味を表すというよりは、観る者の想像力を掻き立てるように、様々な解釈を許容します。画面の余白も重要な要素であり、その余白があることによって、描かれているモチーフや図像がより際立ち、観る者は作品全体に広がりを感じます。鉄製のフレームとガラス板は、作品を保護するだけでなく、作品の一部として機能し、作品と現実世界との境界を曖昧にする効果があります。これらの要素が組み合わさることで、O JUNの作品は、独特の世界観を生み出しているのです。

彼の作品は、単なる絵画の枠を超え、見る者に様々な問いを投げかけます。それは、私たちが見ている現実とは何か、記憶とは何か、そして芸術とは何かという、根源的な問いにも繋がっています。O JUNは、これらの問いに対する答えを、言葉ではなく、絵画を通して表現していると言えるでしょう。彼の作品は、美術ファンだけでなく、哲学や心理学に興味を持つ人々にとっても、深く考えさせられる魅力的な存在です。

もう一度検索