OK (RCサクセションのアルバム)

アルバム『OK』の概要

1983年にリリースされたRCサクセションの『OK』は、バンドの9枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、前作『BEAT POPS』がプログレッシブな要素を持った実験的な音楽スタイルを特徴としていたのに対して、よりシンプルで骨太な音作りが施されています。特に、ベースとドラムスによるタイトなリズムが前面に出ており、聴く者に強烈な印象を与えます。さらに、この作品はRCサクセションにとって唯一の海外（ハワイ）での録音となっており、録音機材の質も手伝って忌野清志郎のボーカルが生音に近い状態で収録されています。

制作の背景

『OK』が完成するまでの過程は、バンドメンバーの忌野清志郎にとって非常に厳しいものでした。アルバム制作中には、体調を崩し、医者からの「一生治らない」という宣告を受けるほどの深刻な肝臓疾患を抱えることになりました。また、母親が長期にわたり入院しているという家庭環境の影響もあり、精神的な苦痛が続いていました。さらに、ハワイでの録音期間中には恋人の父親が急逝するという悲劇もありました。こうした数々の困難にもかかわらず、制作チームからは「早く曲を作れ」とのプレッシャーがかかり、忌野は仕事に対する疑問を抱くようになりました。

音楽的要素とテーマ

アルバムの内容は、恋愛や家族への愛をテーマにしたラブソングが多く含まれています。「Drive my Car」「Oh! Baby」「誰かがBedで眠ってる」「ねむれないTonight」「指輪をはめたい」といった楽曲は、忌野の私生活や感情が投影されています。

一方で、RCサクセションの音楽に見られる社会への批判も色濃く反映されています。「うんざり」「ブルドッグ」「ドカドカうるさいR&Rバンド」といった曲には、バンドに群がる人々や事務所への批判が込められています。

収録曲紹介

• - Drive my Car: ビートルズへのオマージュがある曲で、忌野はこのアルバムをビートルズの『ラバー・ソウル』や『フォー・セール』のようなものにしたいと語っています。
• - Oh! Baby: 別ミックスが施されたシングルとしてもリリースされ、忌野の真摯な歌が印象的です。
• - お墓: RCがフォーク編成だった頃から親しまれている曲で、エレキ化されての新しいアレンジが施されています。
• - 誰かがBedで眠ってる: 愛の描写が響く楽曲です。
• - ねむれないTonight: 疲労感と愛の狭間で葛藤する心情を表わしています。
• - うんざり: フラストレーションが高まる社会に対するメッセージが込められています。
• - ブルドッグ: シンプルで直接的な感情を表現した曲。
• - 指輪をはめたい: 歌詞の内容に対するタブー視があり、度重なる録音の試みが挫折した経緯があります。
• - ドカドカうるさいR&Rバンド: 自己批判的な内容が含まれ、バンドの未来を暗示しています。

メンバーとスタッフ

アルバムには、忌野清志郎を中心としたRCサクセションのメンバーが参加しています。ベースには小林和生、ギターとボーカルには仲井戸麗市、ドラムには新井田耕造が担当しています。また、ブルーデイホーンズとしてのサポートもあり、音楽性の幅を広げています。ジャケットデザインには井上嗣也が携わりました。

『OK』は、そのシンプルさと複雑な背景に触れることで、リスナーに多様な感情を呼び起こす名盤として記憶されています。

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