ONE AND ONLY (アルバム)

中山美穂5枚目のアルバム『ONE AND ONLY』：時代を彩るダンスポップの傑作

1987年7月15日、中山美穂の5枚目のオリジナルアルバム『ONE AND ONLY』がキングレコードよりリリースされました。このアルバムは、ロサンゼルスでの3週間におよぶレコーディングを経て制作され、全曲がアルバムのために書き下ろされたオリジナル楽曲で構成されている点が大きな特徴です。当時としては珍しく、シングル曲は一切収録されていません。

数多くの候補曲の中から厳選された楽曲群は、中山美穂本人も選曲過程に参加した初めての経験となりました。その中には、彼女が初めて作詞に挑戦した「Liberty Girl」も含まれています。作詞時は「北山瑞穂」というペンネームを使用していましたが、この曲は音楽番組『夜のヒットスタジオ』でも披露され、当時大きな話題を呼びました。

楽曲制作には、久保田利伸、小室哲哉、EPOといった豪華アーティストが参加。編曲は鷺巣詩郎、清水信之、船山基紀といった実力派アレンジャーが担当し、シンセサイザーを効果的に用いた、洗練されたダンスポップサウンドに仕上がっています。特に、エフェクトを駆使したサウンドは、当時の最新の音楽技術を惜しみなく投入した、先鋭的な作品と言えるでしょう。

アルバムに収録されている「By-By My Sea Breeze」は、2001年に発売されたファン投票によるベストアルバム『YOUR SELECTION』にも選出された人気曲です。同ベストアルバムには、1980年代に発売されたアルバムの中から「花瓶」と共に選ばれ、長年に渡り愛され続けていることが分かります。

『ONE AND ONLY』は、その後も幾度となく再発売されており、1989年にはGOLD CDとして完全限定盤が、1992年と2015年には廉価盤がリリースされています。さらに、2015年には中山のデビュー30周年を記念した企画『30th Anniversary Original Album Collection』の一環として、過去にリリースされた25作品と共に再発売され、改めてその価値が再確認されました。2020年にはサブスクリプションサービスでの配信も開始され、現代のリスナーにもその魅力が届けられています。

そして、2023年8月30日には、新たな展開として、アルバム収録曲に加え、『派手!!!』、『50/50|50_50』など、オリジナルアルバムには未収録だったシングル楽曲をボーナストラックとして追加収録したSACDハイブリッド盤がタワーレコード限定で発売されました。このSACDハイブリッド盤には、これらのシングル曲のインストゥルメンタルバージョンも収録されており、より多角的に音楽を楽しむことができます。

『ONE AND ONLY』は、単なるアルバムではなく、時代を反映したサウンド、豪華な制作陣、そして中山美穂自身の成長を凝縮した、まさに「これっきゃない！」と言える、彼女の代表作の一つと言えるでしょう。現在も色褪せることなく、多くの音楽ファンを魅了し続ける、名盤中の名盤です。

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