ONE and ONLY DREAMs

『ONE and ONLY DREAMs』：ARBの新章を開いた一枚

1986年11月21日、日本のロックシーンにおいて揺るぎない存在感を放っていたARBが、通算9枚目となるスタジオレコーディングアルバム『ONE and ONLY DREAMs』（ワン・アンド・オンリー・ドリームズ）をリリースしました。この作品は、バンドの歴史において特筆すべき意味を持つアルバムです。

その最大の理由は、長年にわたりバンドのサウンドを支えてきたギタリストに代わり、新たに白浜久が加入して初めて制作されたスタジオアルバムであるという点です。白浜久の参加は、当時のARBの音楽性に新たな息吹をもたらし、バンドサウンドの進化に大きく貢献することとなりました。彼のテクニカルかつ表現力豊かなギタープレイは、石橋凌の力強いヴォーカルや、田中一郎、内藤幸也といった歴代ギタリストが築き上げてきたARBの骨太なロックサウンドに、新鮮な色合いと奥行きを加えました。

本作には、当時のARBが持つ音楽的な多様性と、新体制での探求心が見て取れる全11曲が収録されています。アグレッシブなロックチューンから、心に染み入るバラード、そして内省的な雰囲気を湛えた楽曲まで、バラエティに富んだ構成となっています。各楽曲は、白浜久のギターワークによって、これまでのARBとは一味違ったテクスチャを獲得しており、バンドのサウンドプロダクションが新たな段階に入ったことを明確に示しています。

収録楽曲は以下の通りです。

• - SET ME FREE
• - DAY DREAMER
• - Private Girl
• - FREEDOM
• - PRIDE
• - SPEED OF LOVE
• - 悪の華
• - 朝（あした）のかげりの中で
• - Strangler
• - EASY TO LOVE
• - 灰色の水曜日

これらの楽曲群は、『ONE and ONLY DREAMs』というタイトルに込められた、唯一無二の夢や目標に向かって突き進むバンドの強い意志を体現しているかのようです。白浜久が加わったことで生まれた新たな化学反応は、個々の楽曲の魅力を最大限に引き出し、アルバム全体を通して聴く者に強いメッセージを投げかけます。特に、彼のギターソロやリフは、アルバムのサウンドを特徴づける重要な要素となっています。

このアルバムのリリースは、その後のARBの音楽活動においても大きな影響を与えました。白浜久はその後もバンドの主要メンバーとして活躍し、ARBサウンドの重要な一角を担い続けます。その礎が築かれたのが、この『ONE and ONLY DREAMs』であると言えるでしょう。当時の音楽シーンの中で、ARBがどのように自らの音楽性を更新し、進化させていったのかを理解する上で、本作は欠かせない作品の一つです。

『ONE and ONLY DREAMs』は、単にメンバーチェンジ後の第一作というだけでなく、ARBが新たなサウンドの探求に挑み、その後の活動の方向性を示すことになった、キャリアの中でも特に重要な節目を飾るアルバムとして、現在も多くのファンに聴き継がれています。それは、バンドの不屈の精神と、常に前進しようとする姿勢が生み出した、まさに「唯一無二の夢」を音にした作品と言えるでしょう。

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