OOPARTS (the pillowsのアルバム)

the pillows通算16枚目のオリジナルアルバム『OOPARTS』。バンド結成から四半世紀を経て、彼らが提示した作品は、これまでのキャリアを凝縮した、濃密なロック体験と言えるでしょう。

アルバムタイトルにもなっている『OOPARTS（オーパーツ）』とは、Out Of Place Artifactsの略。日本語では「場違いな遺物」や「時代錯誤な遺物」といった意味を持ちます。この言葉が示唆するように、本作は過去の楽曲や音楽性、そしてバンド自身の歴史と深く関わっています。それは単なる過去への回顧ではなく、現在進行形で進化を続けるthe pillowsの、新たな出発点として位置付けられると言えるでしょう。

本作の大きな特徴は、長年彼らを支えてきたプロデューサー、吉田仁氏を介さず、セルフプロデュースによって制作された点です。先行シングルとしてリリースされた『雨上がりに見た幻』のみ、吉田氏のプロデュースによるものですが、アルバム全体を通して、the pillowsのメンバー自らがサウンドの方向性を決定し、楽曲制作に臨んでいます。この点において、『OOPARTS』は、バンドの成熟と、自分たちの音楽に対する確固たる自信の表れと言えるでしょう。

全編山中さわおによる作詞作曲で統一された全10曲は、the pillowsの音楽性を多角的に示す、バラエティ豊かな楽曲群となっています。疾走感溢れるロックナンバーから、繊細なメロディーが印象的なバラードまで、その幅広い音楽性は、長年の活動の中で培ってきた経験と技術の蓄積を感じさせます。中でも『YOUR ORDER』は、PVが初回限定版のDVDに収録されるなど、アルバムの中でも特に重要な楽曲として位置付けられています。この楽曲は、アルバム全体のテーマを象徴するものであり、歌詞、メロディー、そしてサウンドすべてにおいて、高い完成度を誇っています。

『Dance with God』や『FOXES』といった楽曲は、the pillowsの代名詞と言える、力強いロックサウンドが特徴です。一方で、『Lemon Drops』や『Beyond the moon』といった楽曲は、静謐で美しいメロディーが耳を惹きつけます。また、『ジョニー・ストロボ』のような、実験的な要素を取り入れた楽曲も収録されており、the pillowsの音楽的な探究心と柔軟性が垣間見えます。

『LIFE SIZE LIFE (The bag is small, and I don't enter)』や『Primer Beat』といった楽曲は、アルバム全体の流れの中で、独特の存在感を放っています。これらの楽曲は、一見すると他の楽曲とは異なる雰囲気を持っていますが、よく聴いてみると、アルバム全体のテーマと深く繋がっていることに気付かされます。

『OOPARTS』は、単なる音楽作品としてだけでなく、the pillowsというバンドの歴史と進化を凝縮した、一つのドキュメンタリー作品として捉えることもできるでしょう。長年のファンはもちろんのこと、初めてthe pillowsに触れるリスナーにとっても、その魅力を余すことなく伝えられる、完成度の高いアルバムと言えるでしょう。初回限定盤には、『YOUR ORDER』のミュージックビデオを収録したDVDと、キャンペーン応募葉書が封入されており、コレクターズアイテムとしての価値も高いと言えるでしょう。

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