OPS (野球)

OPS（オプス、オーピーエス）とは

OPSは「On-base Plus Slugging」の略称で、野球において打者の貢献度を数値化するための指標の一つです。この指標は出塁率と長打率を合計した数値で、打者がどれだけ得点に寄与しているかをシンプルに示します。OPSの値が高いほど、その選手は打席ごとの得点に貢献していると判断されます。

OPSの背景

OPSの概念は1984年に、セイバーメトリクスの先駆者であるビル・ジェームズと彼の仲間たちによって提唱されました。彼らは、野球の勝利は得点の多さに直結しているという単純な原理から、「より多くの得点を記録することが目的であるはずなのに、従来の評価方法ではこの点が不十分だ」と感じたことが発端です。特に、四死球や長打を評価しない打率を基にしたランキングには疑問を呈しました。結果として、OPSは得点との相関性が高い指標として広く受け入れられることとなりました。

OPSの計算

OPSは次の式を用いて求められます。

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OPS = 出塁率 + 長打率
```

出塁率は最大1.00、長打率は最大4.00であるため、OPSの理論上の最大値は5.00となります。この単純な計算にもかかわらず、OPSは得点と非常に密接な関連を持っており、NPB（日本プロ野球）のデータでは、2008年から2017年の間、OPSは試合あたりの平均得点との相関が0.92という高い数値を示しています。これは、OPSがその強度を持ってチームの得点を92%説明できることを意味します。

OPSの実用性と普及

2000年代以降、OPSはメジャーリーグでの人気が高まり、公式記録にも取り入れられるようになりました。MLBの公式サイトでは、打者成績はOPENの順で表示されることが多くなり、また野球中継においてもOPSは打率やホームラン数と同様に重要な指標として扱われています。また、日本のプロ野球でも、いくつかの監督がOPSを重視した戦略を採用しています。

Adjusted OPS+

OPSを利用して異なるシーズンやリーグで選手を比較する際には、Adjusted OPS+が便利です。これはリーグ平均を100とし、得点力の傑出度をパーセンテージで表します。たとえば、OPS+が150の選手は、平均よりも50%得点力が高いことを示します。

OPSの制約

OPSは強力な指標ですが、いくつかの制約も抱えています。まず、出塁率と長打率を単純に足し合わせるため、長打の無いが高出塁率の選手と、出塁率は低いが長打力の高い選手の情報が分かりにくくなることがあります。そのため、メディアではこれらのデータを打率、出塁率、長打率として併記し、選手の特性を把握しやすくする工夫がなされています。

また、OPSは走塁面の利得を考慮していないため、正確な得点生産力を測るには、他の指標と併用することが望ましいです。さらに、得点期待値に基づく指標であるwOBA（Weighted On-Base Average）など、より詳細な分析を提供する指標の使用が増えています。

まとめ

OPSは打者の貢献度を評価するための重要な指標として、現代の野球界では広く用いられています。その計算がシンプルでありながら、得点との強い相関性を持つため、選手のパフォーマンスを判断する際の便利なツールと言えるでしょう。しかし、その限界も理解し、併せて他の指標も考慮することが、より完整な選手評価に繋がります。

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