OSCE

OSCE（客観的臨床能力試験）について

OSCE（Objective Structured Clinical Examination）は、医学生や歯学生、薬学部生、獣医学部生が臨床実習に進む前に必要な臨床能力を評価するための実技試験です。1975年に英国で提唱されたこの試験は、客観的に臨床能力を測定する優れた方法として、特にヨーロッパや北米で普及し、現在では世界の多くの国でも実施されています。

日本でのOSCEの導入は1988年で、筑波大学が初めてこの形式を採用しました。当初は「客観的臨床能力試験」として知られていましたが、1994年には川崎医科大学が「オスキー」という呼称を使用し始めました。2001年には医学部と歯学部でOSCEのトライアルが始まり、その後、2005年12月に正式実施されることとなりました。

2020年からは医学部生に対して、本試験前に加え、臨床実習後にもOSCE（Post-Clinical Clerkship OSCE）が実施されています。これにより、学生が臨床におけるスキルをより深く評価される機会が増えています。

各学部におけるOSCEの内容

各学部のOSCEでは、専門分野ごとに異なる課題が設定されています。たとえば、医学部では医療面接や心臓・腹部診察、救急処置の評価が行われるほか、歯学部では口腔内診査やテンポラリークラウンの作成が課題となります。また、獣医学部では小動物や大動物の身体検査が含まれるほか、薬学部では薬剤の調製や患者応対が評価されます。

公的試験化

OSCEは、日本においてもその重要性が認識され、2021年5月の法律改正により、医師法と歯科医師法に基づき、共用試験に合格した者が臨床実習で知識と技能を修得できる体制が整備されました。これにより、2023年8月からOSCEは公的試験として位置づけられることになり、医学部生や歯学部生が求められる臨床能力の基準が明確化されました。

学生資格の付与

共用試験を合格した医学生は「student doctor」との称号が与えられ、2014年からは学生医カードが交付されました。歯学部では2019年から「student dentist」認定制度が導入され、臨床実習の境界がますます明確に定められていきました。

結論

OSCEは、日本における医療系教育において、学生が実際の臨床現場で求められる能力を測定するための重要な試験となっています。この制度の導入により、医学生や歯学生は質の高い医療を提供するためのスキルを身につける機会が増え、さらに厳格な評価基準の下で育成されることが求められています。今後もOSCEの役割はますます重要になり、医療教育の質向上に寄与していくことでしょう。

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