OZ (樹なつみの漫画)

『OZ』について

概要

『OZ』は、樹なつみによるSF漫画作品で、その後OVAやラジオドラマ、舞台など多岐にわたって展開されている。1988年から不定期にLaLaの増刊や本誌で連載され、アメリカの童話『オズの魔法使い』をモチーフにした独自の世界観を形成している。物語は大戦後の荒廃した世界を舞台に、希望ある未来を模索する人々の姿を描いている。

あらすじ

核戦争により世界が終わりを迎え、31年が経過した後、残された人々は戦乱や食糧不足、環境破壊に苦しんでいた。そんな中で語られる伝説が「OZ」と呼ばれる科学都市の存在。そこは、科学者たちが築いた飢えも戦争もない理想的なシェルターであった。

物語の主人公、フィリシアは生体工学を学ぶ天才少女。彼女の前に現れたのは、亡き母に似せて作られたサイバノイド・1019だった。1019はフィリシアの兄リオンからのメッセージを運び、「OZで会おう」と告げる。これを受けて、彼女は傭兵の武藤を伴い、OZへ向かう旅に出る。

登場人物

• - 武藤徉（むとうよう）: 22歳の戦災孤児で傭兵。真面目で約束を守る性格を持つ。フィリシアに誘われてOZへ向かうが、彼女の重要性から誘拐犯として追われる。
• - フィリシア・メリッサ・エプスタイン: 16歳の生体工学博士。信念を持ち、自らの進むべき道を決めて行動する。OZで再会する兄リオンが独裁者と化していることに衝撃を受ける。
• - リオン・コンラート・エプスタイン: フィリシアの兄で、天才科学者。妄想から狂気に陥り、妹をOZに招き入れる。
• - ヴィアンカ・マリア・エプスタイン: リオンとフィリシアの姉で、普通の娘。兄妹との間にコンプレックスを抱いている。

用語

• - OZ: 表向きは理想的な科学都市と思われているが、実際は軍事基地であり兵器開発が行われている。大戦前に設立された計画の名残であり、秘密が隠されている。

物語の背景

物語が展開される世界は、第三次世界大戦によって荒廃したものである。生存者は全人類の40%に過ぎず、多くの国家が存在しながらも、常に流動的で争いが絶えない。食料危機や産業の低下、難民の増加により、傭兵の需要が高まっていた。
そのため、傭兵養成所も存在し、武力を背景にした新しい生活を模索する人々の姿が描かれる。

まとめ

『OZ』は、核戦争後の混迷した世界を舞台に、理想郷への冒険を描いた作品である。その中でキャラクターたちが直面する厳しい現実や、人間の欲望と信念が交錯するストーリーが、読者に深い印象を与える。樹なつみの独特な描写やキャラクターの心理描写が、多くのファンに愛されている理由である。

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