Outbound Port 25 Blocking

Outbound Port 25 Blocking (OP25B) について

Outbound Port 25 Blocking（OP25B）は、インターネットサービスプロバイダ（ISP）が実施するスパムメール対策の一つです。これは、ISPのネットワークから外部のメールサーバへのSMTP（Simple Mail Transfer Protocol）通信、特にTCPポート25番を使用する通信を制限する技術です。OP25Bは、主に以下の目的で導入されています。

スパム送信の抑制: ISPの顧客が自身のメールサーバから大量のスパムメールを送信する行為を防ぎます。
ウイルス感染PCからのメール送信防止: SMTPを利用するタイプのウイルスに感染したPCが、知らないうちにスパムメールを送信するのを防ぎます。

OP25Bの仕組み

OP25Bでは、ISPが許可したメールサーバ（通常はISP自身のメールサーバ）以外へのポート25番を使ったメール送信をブロックします。これにより、契約しているISP以外のメールサーバ（例えば、学校や勤務先のメールサーバ、ホスティング業者のメールサーバ）へのメール送信ができなくなります。また、別のISPのネットワークから、契約しているISPのメールサーバへメールを送信することも制限されます。

OP25B導入の背景と課題

OP25Bは、ボットネットに感染したコンピュータからのスパム送信や、PCから携帯キャリア宛のスパム送信を抑制する効果があります。しかし、一方で以下のような課題も存在します。

利用者の設定変更: OP25Bが予告なく実施されると、利用者はメールソフトの設定を変更する必要が生じます。
外部メールサーバの利用制限: 外部のメールサーバがサブミッションポートに対応していない場合、メールを送信できなくなることがあります。

メッセージサブミッションエージェント（MSA）とサブミッションポート

OP25Bを実施しているISPでは、外部サーバへのメール送信を禁止するか、サブミッションポート（587番ポート）を利用するよう推奨しています。ここで、メッセージサブミッションエージェント（MSA）の役割が重要になります。

MSAの役割

従来のSMTPでは、MTA（Message Transfer Agent）がメールの伝達のみを担当していました。しかし、インターネットの普及に伴い、MTAは伝達以外の処理も行うようになりました。そこで、メールを送信するMUA（Message User Agent、メールソフト）と、MTAの間を取り持つ役割としてMSAが導入されました。

MSAは、MUAからのメールを受け付ける窓口として機能し、ポート番号587番を使用します。MSAは、メールの補完や加工を行い、MTAにメールをリレーします。MTAは、メールの経路情報などのヘッダーを追加する役割を担います。通常、送信時にはSMTP-AUTHなどの認証方式も併用されます。

OP25B環境下でのメール送信

OP25Bを導入しているISPに接続している場合、外部のメールサーバ（例えば、他のISPやホスティング先のサーバ）を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

1. サブミッションポート対応: 利用するメールサーバがポート番号587番でのアクセスを提供していること。
2. メールソフトの設定変更: メールソフトの設定を、利用するメールサーバが指定する設定に変更すること。

また、MTAが正常に動作し、自身がMTAであるかMSAであるかを識別できる情報を付与する場合は、MUAからMTAへのポート25番の通信が認められる場合があります。

業界と政府の見解

JEAGの推奨: Japan Email Anti-Abuse Group（JEAG）では、OP25Bワーキンググループが「送信元IPアドレスが動的IPで、宛先ポートが25番であるTCPトラフィックを遮断する」ことを推奨しています。
総務省の見解: 総務省は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づき、OP25Bは「正当業務行為と解釈できる」という見解を示しています。これは、OP25Bがスパム対策として正当な措置であることを認めるものです。

参考情報

関連技術:
スパム (メール)
Inbound Port 25 Blocking
Simple Mail Transfer Protocol

外部リンク:
OP25B連絡会
* Inbound / Outbound Port 25 Blocking (IP25B / OP25B) 実施 ISP 一覧

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