特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律について

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律（以下、特定電子メール法）は、迷惑メールやチェーンメールといった不適切な電子メールの送信を規制し、インターネット環境を良好に保つことを目的とした日本の法律です。

法律の概要

一般的に「特定電子メール法」または「迷惑メール防止法」と呼ばれています。通信業界関係者の間では、特定商取引に関する法律（特商法）と合わせて「特電法」と呼ばれることもあります。この法律は、平成14年法律第26号として2002年4月11日に制定され、同年7月1日に施行されました。

歴史

2005年の改正では、送信者情報を偽装した広告メール（スパムメール）に対する刑事罰規定が設けられ、スパマーの規制が始まりました。しかし、海外からのメールは規制対象外であったため、迷惑メールは依然として増加傾向にありました。また、ボットネットからの送信も摘発が困難でした。

2008年の改正では、従来のオプトアウト方式に代わり、オプトイン方式が導入され、法律の実効性が強化されました。また、国際連携を強化する内容も盛り込まれました。この改正は、2008年5月30日に成立し、同年12月1日に施行されました。附則には、3年以内の見直しが明記され、総務省で研究会が開催されましたが、法改正には至っていません。現在、総務省は迷惑メールの告発を奨励し、事業者データベースを作成、措置命令を受けた企業名を公開しています。

法律の構成

特定電子メール法は以下の構成となっています。

第一章：総則
第二章：特定電子メールの送信の適正化のための措置等
第三章：登録送信適正化機関
第四章：雑則
第五章：罰則
附則

規制対象

特定電子メール法では、営利団体や個人事業者が広告や宣伝のために送信するメールを「特定電子メール」と定義しています。この規制は、国内からの送信だけでなく、国内への送信全てが対象となるため、海外から日本国内へ送信されるメールも規制対象に含まれます。

特定商取引に関する法律（特商法）でも電子メール広告に対する規制がありますが、特商法は取引形態や商品が限定されるのに対し、特定電子メール法は適用範囲が広く、特定電子メールに対する規制は比較的緩やかです。

原則として、以下のいずれかに該当する場合を除き、特定電子メールの送信は禁止されています。

事前に送信を求める旨を通知した者
電子メールアドレスを通知した者
取引関係にある者
総務省令で定められた、電子メールアドレスを公開している団体または個人

上記の例外に該当する場合でも、受信者が送信停止を求めた場合は、原則として送信は禁止されます。

規制対象となる電子メールは、以下の通信方式によるものです。

SMTP（Simple Mail Transfer Protocol）を用いた通信方式
携帯電話番号を用いたSMSメッセージ

送信者の表示義務

特定電子メールを送信する者は、以下の項目を受信者の端末で正しく表示しなければなりません。

送信者の氏名または名称
受信拒否の通知を受け取るための送信者の電子メールアドレスなど
その他総務省令で定める事項

また、自己または他人の営業を目的とした架空の電子メールアドレスへの大量メール送信は禁止されています。

行政処分と罰則

総務大臣は、規制を遵守していないと認められる場合、是正を求める措置命令を行うことができます。主な罰則は以下の通りです。

1年以下の懲役または100万円以下の罰金（法人は3000万円以下の罰金）
送信者情報を偽った場合
措置命令に違反した場合（同意等の記録保存に関するものを除く）
100万円以下の罰金
措置命令に違反した場合（同意等の記録保存に関するものに限る）
報告・検査の拒否、または虚偽の報告をした場合

その他の処置

架空電子メールアドレスへの大量送信により、電気通信設備に障害が生じる可能性がある場合、電気通信事業者は、そのアドレスへのメール送信者に対し、サービス提供を拒否することができます。

また、登録送信適正化機関という制度があり、現在、一般財団法人日本データ通信協会が登録を受けて業務を行っています。

公布・改正・施行

公布: 2002年4月17日
施行: 2002年7月1日
改正: 2004年4月1日（電気通信事業法等の改正に伴うもの）
改正: 2005年11月1日（スパムメール規制強化）
改正: 2008年12月1日（オプトイン方式導入など）
改正: 消費者庁設置に伴う関係法律の整備に関する法律施行時

関連項目

電子メール
スパムメール
出会い系サイト

外部リンク

迷惑メール関係施策 - 総務省
特定電子メール法 - 迷惑メール相談センター

もう一度検索