P-64 (航空機)

P-64（North American P-64）

P-64は、アメリカのノースアメリカン社が1930年代後期に開発した戦闘機で、その特徴から主に輸出用として位置付けられていました。この機体は、アメリカ陸軍での呼称であり、内部ではNA-50やNA-68としても知られています。また、ノースアメリカン社はこの機体を通じて、戦闘機開発の第一歩を踏み出したといえるでしょう。

開発の背景

ノースアメリカン社は、1937年に熱心な支持を得ていた練習機T-6テキサンをもとに、単座・全金属製の戦闘機を開発するプロジェクトを開始しました。この機体は引込脚を備えた簡易型戦闘機であり、社内ではNA-50と呼ばれていました。第一次納入は、ペルー空軍向けに7機が実施され、1941年にはペルーとエクアドルとの軍事紛争においてこの機体が実戦に投入されたという足跡があります。

輸出と名称の変更

1940年12月、タイ王国空軍はNA-50を審査し、機銃を増強した重武装型のNA-68を6機発注しました。NA-68は20mm機関砲を主翼に懸架し、高度な攻撃能力を持たせていました。しかし、日本の影響力が拡大している中、アメリカ政府は輸出契約を急遽キャンセルし、自国での使用を決定しました。この際、機体はP-64という名称が付けられました。

アメリカ陸軍では、P-64は武装が解除された後、高等練習機としての役割を果たすようになりました。その後、1943年にはRP-64に改名され、連絡任務などにも使用されました。シリアル番号は41-19082から41-19087までの範囲に登録されています。

機体仕様

P-64の基礎スペックは以下の通りです：

• - 乗員：1名
• - 全長：8.23メートル
• - 全幅：11.35メートル
• - 全高：5.99メートル
• - 主翼面積：21.1平方メートル
• - 空虚重量：2,114キログラム
• - 運用時重量：2,717キログラム
• - 最大離陸重量：3,080キログラム
• - 動力：ライト R-1820-77エンジン
• - 出力：870馬力
• - 最大速度：435 km/h
• - 航続距離：1,550 km
• - 実用上昇限度：8,400メートル
• - 武装：7.62mm機関銃×2、20mm機関砲×2、最大爆弾搭載量180kg

現存機体

P-64の機体は、一部が今も残っており、当時の技術やデザインの貴重な証となっています。これらは航空ショーやミュージアムでの展示に使われ、歴史的な重要性が保持されています。

このように、P-64は戦闘機の発展における重要な一歩であり、当時の航空技術を知るための重要な要素として位置付けられています。

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