PANAM (レコードレーベル)

PANAM（パナム）とは

PANAMは、日本クラウンが展開するポップス系のレコードレーベルです。フォーク・ニューミュージックのレーベルとして知られていますが、元々は流行歌に対するポップス系レーベルとして設立されたため、アイドルやロックなど幅広いジャンルのアーティストが所属しています。

その始まりは1967年、和製ポップス向けに新設された「PW盤」でした。

歴史

1967年秋、グループ・サウンズのブームに乗って、日本クラウンは和製ポップスの制作に乗り出します。当時、和製ポップスは洋楽レーベルを通じてリリースされるのが主流でしたが、洋楽レーベルを持っていなかった同社は、ポップス専用レーベル「クラウン和製ポップスシリーズ（仮称）」を発足させました。同時期には、東芝の「エキスプレス」、コロムビアの「P盤」、ビクターの「VP盤」など、同様の経緯で生まれたポップス系レーベルが存在しました。

当時の洋楽レーベルのシングル盤が370円だったのに対し、日本クラウンはこのレーベルのシングル盤を330円と、流行歌並みの価格に設定しました。

「PW盤」の第一弾は、泉アキとザ・レインジャーズの「恋はハートで」（1967年10月発売）でした。その後、ザ・レインジャーズ、ザ・クーガーズ、ザ・ジェノバといったグループ・サウンズがデビュー。中でもザ・ジェノバは「サハリンの灯は消えず」をヒットさせました。彼らのレコードは、カルト的な人気と希少価値から、コレクターの間で高く評価され、「クラウンを制する者はGSを制する」と言われるほどでした。

また、西郷輝彦がポップス色の強い作品をリリースする際にも、このレーベルが使用されました（「月のしずく」「ガラスの涙」）。

リンガースがムードコーラスグループ・山岸英樹とサムソナイツに転身して再デビューした際も、「PW盤」から「こころがわり」をリリースしています。

「クラウンレコード」の音源での伴奏者は「クラウン・オーケストラ」とクレジットされていましたが、「PW盤」では「クラウン・ニューサウンズ・オーケストラ」という名義が使用されていました。

1970年3月、「PANAM」というレーベル名が正式に付けられ再発足します。南こうせつとかぐや姫を始め、フォーク系のアーティストが数多くデビューし、フォーク系の主要レーベルとしての地位を確立しました。しかし、「PANAM」はあくまでポップス系のレーベルであるため、クラウンレコードでは数少ないアイドル歌手や、鈴木茂などロック系アーティストも「PANAM」から作品をリリースしています。

1970年代後期には、細野晴臣（ティン・パン・アレー）やムーンライダーズなどが在籍していました。

再発足当初は、レコード盤での曲名やアーティスト名の表記にローマ字が併記されていました（例：「神田川」＝「KANDAGAWA」、「南こうせつとかぐや姫」＝「K.MINAMI & HIS KAGUYAHIME」）。

2006年10月、新レーベル「CROWN GOLD」「CROWN STONES」が発足し、ポップス・ロック系レーベルの主力はこれらに移行しましたが、PANAMレーベル自体は現存しています。

2023年4月5日、シティポップバンド「GOOD BYE APRIL」が同レーベルからメジャーデビュー。PANAMレーベルとしては8年7ヶ月ぶりの新アーティストとなります。また4月9日には、PANAMレーベルの公式YouTubeチャンネルが開設されました。

備考

1990年から1992年まで、たまが日本クラウンを販売元とするレコード会社「アクシック(axec)」に所属していましたが、再発盤はこのレーベルからリリースされています。たまの『さよなら人類/らんちう|さよなら人類_らんちう』などのミュージックテープは、当時のクラウンレコード所属の演歌歌手のテープとデザインや文字がほぼ同じであり、オレンジ色の「カラオケ付シングルカセット」シリーズでしたが、ドルビーシステム録音でリリースされていた点が大きく異なりました。

外部リンク

日本クラウン・PANAM公式サイト
PANAM 公式チャンネル - YouTubeチャンネル

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