PANIC ATTACK

UNICORN - PANIC ATTACK

『PANIC ATTACK』は、1988年7月21日にリリースされた日本のロックバンド、UNICORNの2枚目のオリジナルアルバムです。前作『BOOM』から約9ヶ月ぶりのリリースであり、メンバーの変更や音楽性の進化が見られる作品となっています。

リリースまでの経緯

UNICORNは、広島県で結成され、1986年に奥田民生と向井美音里が加入し、本格的に活動を開始しました。同年にはCBSソニーのオーディションに合格し、メジャーデビューを果たします。デビュー後、ライブ活動を精力的に行い、1987年10月にはファーストアルバム『BOOM』をリリースしました。

しかし、1988年1月にはキーボード担当の向井美音里が体力的な理由から脱退。その後、阿部義晴がサウンドスタッフとして参加し、レコーディング期間中に正式メンバーとして加入しました。

音楽性と特徴

『PANIC ATTACK』は、前作に引き続きニュー・ウェイヴ、ハードロック、パンク・ロックなどの要素を取り入れつつ、コミカルな歌詞や展開の楽曲が増加している点が特徴です。また、本作では初めて奥田民生以外のメンバーがボーカルを担当し、メンバー全員が作詞を手掛けるなど、新たな試みも行われています。

奥田民生は「明るいアルバム」を目指して制作したと語っており、川西幸一は前作で技術的に追いついていない部分があったため、本作では向上した技術を発揮し、各パートの生音を活かすことを意識したと述べています。

楽曲について

アルバムには、メンバーそれぞれの個性が光る楽曲が収録されています。

I'M A LOSER: 苦しげなボーカルが印象的な、恋に空回りする男の心情を描いた楽曲。PVでは楽器を持たずに当て振りをするというユニークな演出が話題となりました。
HEY MAN!: 女性に翻弄される若者の心情をコミカルに描いた楽曲。イントロのクラクションの音は、実際にスタジオ外で録音されたものです。
SUGAR BOY: デビュー前から存在していた楽曲で、初恋にもじもじする純情な男の子を描いた歌詞が特徴です。
ペケペケ: 堀内一史がリードボーカルを務める楽曲で、哲学や人生、政治などを題材にしたくないという意図から、コミカルな歌詞となっています。
* ツイストで目を覚ませ: 手島いさむが初めて作詞を手掛けた楽曲で、ビートルズを意識したサウンドが特徴です。

評価と影響

『PANIC ATTACK』は、オリコンアルバムチャートで最高位19位を獲得。初期UNICORNの魅力を凝縮した作品として、現在でも多くのファンに愛されています。

音楽評論家からは、奥田民生のメロディセンスや、メンバーそれぞれの個性が発揮された楽曲が高く評価されています。また、本作からUNICORNの「3の線指向」が始まったと評され、次作『服部』へと繋がる重要な作品と位置づけられています。

ライブ・ツアー

アルバムのリリース後には、「UNICORN TOUR PANICK ATTACK'88」と題したコンサートツアーが行われました。ツアーでは、アルバム収録曲を中心に、熱狂的なパフォーマンスが繰り広げられました。

まとめ

『PANIC ATTACK』は、UNICORNの音楽性の幅広さや、メンバーそれぞれの個性が光る作品です。コミカルな歌詞や実験的なサウンドは、聴く人を飽きさせません。初期UNICORNの魅力を知る上で、欠かせない一枚と言えるでしょう。

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