Pax

paxは、IEEE Std 1003.2 (POSIX) 規格によって定義された、アーカイブを作成および操作するためのユーティリティです。このユーティリティは、tarやcpioといった既存のアーカイブ形式が抱える互換性の問題を解決するために設計されました。

paxの歴史と背景

UNIX環境において、tarやcpioは長らくアーカイブ作成ツールとして利用されてきました。しかし、これらのツールは、UNIXの多様なバージョン間で異なる実装やオプションが存在し、互換性の問題を引き起こすことがありました。IEEEは、これらの問題を解決するために、新しいアーカイブユーティリティを設計することを決定しました。それがpaxです。paxという名前は、ラテン語で「平和」を意味し、tarとcpioのフォーマット間の争いを鎮め、平和をもたらすという願いが込められています。

paxの主な機能

paxの主な機能は、ファイルやディレクトリをアーカイブすることと、アーカイブからファイルやディレクトリを復元することです。paxは、デフォルトではPOSIX規格で定められているustarフォーマット（tar互換）でアーカイブを作成します。しかし、`-x`オプションを使用することで、ustar以外にもcpio形式のアーカイブを作成することもできます。これにより、paxは様々なアーカイブ形式を扱うことができる汎用的なツールとなっています。

paxのオプション

paxには、多くのオプションが用意されていますが、特によく利用されるのは`-x`オプションです。このオプションを使用することで、出力するアーカイブのフォーマットを指定できます。

`-x format`：出力フォーマットを指定します。`ustar`（tar互換）または `cpio` を指定できます。

paxの重要性

paxは、異なるUNIXシステム間でのファイル交換やバックアップにおいて重要な役割を果たします。互換性の高いアーカイブ形式を提供することで、ユーザーはプラットフォーム間の差異を意識することなく、安全にデータのやり取りを行うことができます。

まとめ

paxは、POSIX規格に準拠した強力なアーカイブユーティリティであり、tarとcpioの互換性問題を解決するために設計されました。`ustar`形式をデフォルトとしつつも、`-x`オプションで他の形式もサポートし、多様な環境に対応できる汎用性を持っています。異なるプラットフォーム間でデータを安全に交換する上で、paxは非常に重要なツールであると言えるでしょう。

外部リンク

pax – The Open Group基本仕様書第7号2018年版「シェル及びユーティリティ」
* “hp-UXリファレンス pax”. 2007年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ

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