The Open Group

The Open Group：UNIXの遺産と未来を担うIT標準化団体

The Open Groupは、1996年にX/OpenとOpen Software Foundation (OSF) の合併によって設立された、グローバルなIT標準化団体です。その起源は、1980年代から続く「UNIX戦争」と呼ばれる、複数の企業によるUNIX系オペレーティングシステムの覇権争いにまで遡ります。この激しい競争は、最終的にThe Open Groupの設立という形で終結を迎えることになります。

当初はUNIX関連技術に特化した団体としてスタートしましたが、現在では、オープンでベンダーに依存しないIT標準と認証の開発を多様な分野で推進しています。その活動は、UNIXという枠組みを超え、幅広いIT技術を網羅するまでに拡大しています。

主要な活動

The Open Groupの主要な活動は大きく分けて以下の３つです。

1. 標準化: POSIX（Portable Operating System Interface for Unix）を始め、Common Operating Environment (COE) プラットフォーム、Lightweight Directory Access Protocol (LDAP)、Schools Interoperability Framework (SIF)、Wireless Application Protocol (WAP)など、多岐にわたるIT技術の標準化を推進しています。 特に、UNIX商標の管理は重要な役割の一つであり、UNIXシステムの互換性を確保するために貢献しています。さらに、Call Level Interface（ODBCの基盤）、Common Desktop Environment (CDE)、Distributed Computing Environment（DCOMの基盤）、Distributed Relational Database Architecture (DRDA)、Motif GUI ウィジェット・ツールキット（CDEで使われている）、X Window SystemなどもThe Open Groupが関わってきた技術です。近年では、Linux Foundationと協力してLinux Standard Baseの仕様策定にも参加するなど、オープンソース技術への関与も深めています。

2. 認証: The Open Groupのもう一つの柱は、認証プログラムです。上記の標準に準拠した製品やサービスに対して認証を行い、品質と互換性を保証しています。認証対象は、プラットフォーム、プロトコル、アプリケーションなど多岐に渡り、ユーザー企業は、認証済みの製品やサービスを選ぶことで、信頼性と互換性を確保できます。

3. ビジネスプラクティスの標準化: 技術標準だけでなく、ITアーキテクチャや開発プロセスといったビジネスプラクティス、開発プラクティスの標準化にも取り組んでいます。The Open Group Architecture Framework (TOGAF) など、大規模なITシステム構築や運用に役立つ標準フレームワークを提供し、企業のIT戦略策定を支援しています。また、ITアーキテクト向けの専門資格認定プログラムなども提供し、人材育成にも貢献しています。

組織と運営

The Open Groupには、世界中から500以上の組織が参加しています。メンバーには、ハードウェアメーカー、ソフトウェアベンダー、サービスプロバイダー、ユーザー企業、政府機関、大学など、多様な組織が含まれ、その広範なネットワークを通じて、標準化活動や認証プログラムを推進しています。特に、プラチナメンバーと呼ばれる主要メンバー企業は、運営に重要な役割を果たしています。

メンバーは、様々なフォーラムに参加して標準策定に協力できます。フォーラムは、ArchiMate® Forum、Architecture Forum、IT4IT™ Forum、Open Platform 3.0™ Forum、Real-time & Embedded Systems Forum、Security Forum、Open Trusted Technology Forum、Platform Base Working Groupなどがあり、それぞれの専門分野における標準化活動が行われています。また、四半期ごとに全体会議を開催し、情報共有や議論を行う場も設けています。

歴史と背景

The Open Groupの歴史は、UNIX戦争の終結と深く関わっています。1990年代初頭、UNIX系OSを巡る激しい競争が収束に向かう中で、COSEイニシアティブが発足。最終的に、1996年にOSFとX/Openが合併し、The Open Groupが誕生しました。これは、当時UNIXコミュニティ全体を代表する団体として、業界の標準化を推進していくための重要なステップとなりました。パーソナルコンピュータ市場の拡大や、Microsoft Windows NTのような強力な競合OSの登場、そしてGNUプロジェクトに端を発するLinuxやBSD系のUNIX系システムの台頭が、UNIX戦争終結を促した背景の一つといえます。

今後の展望

The Open Groupは、今後もオープンでベンダーニュートラルなIT標準化を推進し、グローバルなIT業界の発展に貢献していくことが期待されます。Linux Foundationとの協力関係を維持し、オープンソース技術との連携も強化していくことが考えられます。また、デジタル化の加速に伴い、新たな技術やビジネスモデルに対応した標準化活動が求められており、The Open Groupの役割はますます重要になっていくでしょう。

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