PICARD (人工衛星)

PICARD (ピカール): 太陽観測衛星の詳細

PICARDは、フランス国立宇宙研究センター（CNES）によって2010年に打ち上げられた太陽観測衛星です。この衛星の名前は、17世紀の天文学者ジャン・ピカールに由来しており、彼の太陽活動研究における重要な貢献を称えるものです。

概要

PICARDは、CNESが2004年12月に承認した小型衛星プラットフォームMYRIADEを利用した3番目の科学衛星です。2010年6月15日、ロシアのヤースヌイ宇宙基地からドニエプルロケットによって打ち上げられ、スウェーデン宇宙公社の技術試験衛星PRISMAと共に軌道に投入されました。

この衛星は、太陽を常に観測できる地球の明暗境界線上を周回する軌道を選択しています。この軌道により、太陽の直径を測定するイメージャーと2種類の太陽放射束密度センサーを用いて、太陽活動サイクル（第24周期）における太陽観測を継続的に行うことができました。

PICARDの主な目的は、太陽活動サイクルと太陽光度、太陽直径の相関関係を解明し、太陽活動の変動が地球の気候に与える影響を研究することでした。当初は2年間の観測期間が予定されていましたが、実際には約4年間運用され、2014年4月に運用を終了しました。

観測機器

PICARDには、以下の3つの主要な観測機器が搭載されています。

1. 太陽直径イメージャーおよび表面マッパー（SODISM）
- 口径110mmのリッチークレチアン式反射望遠鏡を使用し、2048×2048ピクセルのCCD受光部を備えています。
- 太陽表面とその光球の直径を1.06秒角の分解能で撮像できます。
- 2つの回転式フィルターにより、紫外線、可視光線、赤外線を含む215～782.2nmの5つの波長帯で観測が可能です。
- フランス国立科学研究センターの大気/環境/宇宙観測研究所(LATMOS)が開発を担当しました。

2. 太陽放射変動計（SOVAP）
- 太陽放射束密度の総量を700ppmの精度で計測します。
- ヒートシンク、熱量計、入射光を制御する2枚のシャッターで構成されています。
- 同様の機器は、過去に[欧州宇宙機関]の衛星EURECAや太陽探査機SOHOにも搭載されました。
- ベルギーの王立気象研究所によって製作されました。

3. 精密モニターセンサー（PREMOS）
- 215～782.2nmの5つの波長チャンネルで太陽スペクトルの放射束密度を測定します。
- 太陽探査機SOHOに搭載されたVIRIGO PMO6と同型の機器です。
- スイスのダボス物理気象観測所/世界放射センター（PMOD/WRC）が提供しました。

研究成果と意義

PICARDによる観測データは、太陽活動と地球の気候変動の関係を理解する上で重要な役割を果たしました。太陽直径の精密な測定は、太陽の物理的な変化と活動サイクルの関連性を明らかにし、太陽放射束密度の変動は、地球のエネルギー収支における太陽の役割をより深く理解するために役立ちました。

この衛星のデータは、太陽変動の研究、日震学の研究、地球の気候モデルの精度向上に貢献しています。特に、太陽活動が地球の気候に及ぼす影響をより正確に予測するための基礎データとして、その価値は非常に高いと言えます。

関連項目

• - 太陽定数
• - 地球のエネルギー収支
• - 太陽変動
• - 日震学

参考文献・外部リンク

• - PICARD 公式ホームページ

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