フランス国立科学研究センター

フランス国立科学研究センター（CNRS）について

フランス国立科学研究センター（Centre national de la recherche scientifique、CNRS）は、1939年10月19日に設立されたフランス最大の政府系基礎研究機関です。3万人を超える職員を擁し、約33億ユーロの予算で運営されています。CNRSは、科学の発展に貢献するため、幅広い分野で研究活動を推進しており、フランスの研究を牽引する重要な役割を担っています。

CNRSの組織

CNRSは、以下の10の研究所で構成されています。

1. 生命科学研究所
2. 化学研究所
3. 環境科学研究所
4. 人文・社会科学研究所
5. 情報科学研究所
6. 工学・システム科学研究所
7. 国立数学研究所
8. 物理学研究所
9. 国立原子・素粒子物理学研究所
10. 国立宇宙科学研究所

これらの研究所は、それぞれ専門分野に特化した研究活動を行っています。

また、科学研究国家委員会（CoNRS）は、研究者の評価や研究分野の割り当てを行っています。研究グループは、複数の研究部門に所属することがありますが、各研究者は1つの研究部門にのみ所属します。

CNRSは、運営上の理由から18の地域区分を設けており、研究ユニットは独自研究ユニット（UPR）と共同研究ユニット（UMR）があります。各ユニットにはコード番号が与えられ、大学教授やCNRSの研究部長がディレクターとして統括します。現在、1,116の研究ユニットで研究活動が行われており、共同研究者を含めるとCNRSの研究者の85%が共同研究に参画しています。

CNRSの雇用

CNRSの正規教員・研究者は、研究部長（Directeur de recherche）と研究担当（chargé de recherche）の2つの序列に分類されます。また、研究技術者（Ingénieur de recherche、ingénieur d'études）も存在します。

原則として、研究部長が研究グループを率います。正規職員の採用は、毎年実施される全国規模の採用試験によって決定されます。合格者は公務員としての地位と処遇を得られます。

CNRSの国際活動

CNRSは、世界各地に連絡事務所を設置し、国際的な研究協力体制を築いています。ブリュッセル、北京、東京、ハノイ、ワシントンD.C.、ボン、モスクワ、チュニス、ヨハネスブルグ、サンチアゴに連絡事務所があります。

CNRSの歴史

CNRSは、1939年にアルベール・ルブラン大統領の令によって創設されました。1954年以降、フランス人科学者や若手研究者の業績を称えるため、金・銀・銅メダルを授与しています。1966年には組織が改変され、国立天文地球物理研究所（1967年発足、後に国立宇宙科学研究所に改組）と国立核物理素粒子物理研究所（1971年発足）が誕生しました。近年、CNRSの活動を見直す動きがあり、人材採用、待遇、キャリア管理、評価手法などの課題に取り組んでいます。政府はCNRSを研究プロジェクト毎にサポートする機関に組織変更することや、CNRSの研究者を各大学に再配置することを検討しています。

CNRSの最高責任者

CNRSの最高責任者は、1956年に「総裁」から「理事長」に役職名が変更されました。

歴代総裁

1938-1940: Henri Longchambon
1939-1940, 1943-1944 (アルジェ): Henri Laugier
1940年6月 - 8月: Jean Mercier
1940-1944: Charles Jacob
1944-1946: Frédéric Joliot
1946-1950: Georges Teissier
1950-1957: Gaston Dupouy

歴代理事長

1957-1962: Jean Coulomb
1962-1969: Pierre Jacquinot
1969-1973: Hubert Curien
1973-1976: Bernard P. Gregory
1976-1979: Robert Chabbal
1979-1981: Jacques Ducuing
1981-1982: Jean-Jacques Payan
1982-1986: Pierre Papon
1986-1988: Serge Feneuille
1988-1994: François Kourilsky
1994-1997: Guy Aubert
1997-2000: Catherine Bréchignac
2000-2003: Geneviève Berger
2003-2006: Bernard Larrouturou
2006-2010: Arnold Migus

歴代所長

2010-2017: Alain Fuchs
2017年10月24日 - 2018年1月24日（代理）: Anne Peyroche
2018年1月24日 -: Antoine Petit

付属研究所

CNRSには、以下の付属研究所があります。

原子・分子計算ヨーロッパセンター（CECAM）
科学技術情報研究所（INIST）
情報学・統計システム研究所（IRISA）
パリ天体物理学研究所（IAP）
細胞分子生物学研究所（IBMC）
ジャン･ニコ研究所（IJN）
音声言語研究所（LPL）
解析・システムアーキテクチャ研究所（LAAS）
パリ第6大学情報学研究所（LIP6）
機械・エンジニアリング科学のための情報学研究室（LIMSI）
ソレイユ

脚注

詳細は、以下の外部リンクを参照してください。

公式サイト
CNRSの歴史
CNRSの歴史/序
CNRS Editions

これらの情報から、CNRSがフランスの科学研究において重要な役割を果たしていることがわかります。

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