PINK PUSSY CAT

アン・ルイス『PINK PUSSY CAT』：ロックへの転換期を彩る名盤

1979年8月5日、ビクターレコードより発売されたアン・ルイス6作目のオリジナルアルバム『PINK PUSSY CAT』。本アルバムは、それまでのアイドル歌謡路線から、後のアン・ルイスの代表作である「ラ・セゾン」「六本木心中」「あゝ無情」といったロック色の強い楽曲群へと繋がる重要な過渡期的作品として知られています。

山下達郎プロデュースによる音楽性の変革

プロデューサーに迎えられたのは、日本の音楽シーンに多大な影響を与えた山下達郎氏。彼の卓越した音楽センスと、豪華ミュージシャン陣の参加によって、本アルバムは、アン・ルイスの新たな魅力を引き出すことに成功しています。楽曲提供も手掛けた山下達郎氏に加え、吉田美奈子氏、桑名正博氏といった実力派ミュージシャン、そして、テクノポップバンドYMOの坂本龍一氏、高橋幸宏氏、細野晴臣氏らも参加。その豪華な布陣は、当時の音楽シーンを賑わせました。

アルバムタイトルと収録曲

アルバムタイトル『PINK PUSSY CAT』は、英語圏で猫を指す言葉ですが、発音は「ピンク・キャット」となります。初回盤のLPはピンク色のカラーレコード仕様で、裏ジャケットには中国語で「粉紅色的小猫」と表記されている点が興味深いところです。

収録曲には、アメリカ出身のロックバンド、ハートのヒット曲「Dream Boat Annie」のカバーも収録。このカバー曲からも、アルバム全体がロックへの転換を図っている姿勢が伺えます。また、山下達郎氏のアルバム『MOONGLOW』に収録された「RAINY WALK」は、本アルバムのアウトテイク曲であったものが、山下達郎氏によって原盤権が買い取られ、収録されたというエピソードも有名です。

再発売と持続的な人気

CDは1988年6月に初版が発売されましたが、その後廃盤となっていました。しかし、2013年8月28日にはタワーレコード限定で25年ぶりにCDが再発売され、2018年11月3日にはアナログレコードが、そして2022年3月2日にはMEG-CDも発売されるなど、現在も高い人気を維持し続けている作品です。これらの再発は、本アルバムが日本の音楽史において重要な位置を占めていることを改めて証明しています。

参加ミュージシャン

本アルバムの完成度を高めたのは、山下達郎氏をはじめとする、錚々たるミュージシャンたちの参加です。キーボードには江夏健二氏、坂本龍一氏、佐藤博氏、山下達郎氏。ギターには笛吹利明氏、椎名和夫氏、松木恒秀氏、松原正樹氏、山下達郎氏、桑名正博氏 & TEAR DROPS。ベースには岡沢章氏、田中章弘氏、細野晴臣氏。ドラムスには上原裕氏、高橋幸宏氏、渡嘉敷祐一氏。ストリングス、パーカッション、コーラスにも多くのミュージシャンが参加し、まさに豪華絢爛なメンバーとなっています。

まとめ

『PINK PUSSY CAT』は、アン・ルイスのキャリアにおける転換期を鮮やかに描いた、ロック色の強いオリジナルアルバムです。山下達郎氏によるプロデュース、YMOメンバーを含む豪華ミュージシャン陣の参加、そして再発の経緯など、様々な側面から、日本の音楽史における重要性を再認識させられる作品となっています。音楽ファン、そしてアン・ルイスファンにとって、必聴のアルバムと言えるでしょう。

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