PVP装甲車

PVP装甲車 (Petit Véhicule Protégé)

PVP装甲車は、フランスのオーヴェルラン社が開発した装甲車両です。その名の通り「小型防護車」であり、兵員の輸送や哨戒、警備などの任務を遂行するために設計されました。フランス陸軍では、老朽化したプジョー・P4の後継として採用され、戦場における連絡や偵察、指揮統制など、幅広い役割を担っています。

開発の背景

ユーゴスラビア紛争での戦訓から、従来の連絡・指令車両では、小型火器やIED（即席爆発装置）、狙撃兵などに対する防護性能が不足していることが明らかになりました。そこで、プジョー・P4の後継となる新たな装甲車両の開発計画が2001年に始動し、2004年にオーヴェルラン社がPVPの開発を受注しました。PVPは2002年のユーロサトリ防衛・安全保障展示会で初めて一般公開されました。

特徴

PVPは、車体とシャシーがフランス国内の2か所で製造され、最終組み立ては別の場所で行われました。車室はSTANAG 4569レベル2、エンジンはレベル1の防弾性能を備えており、VBL装甲車と同等の防御力を有しています。これは、小銃弾や砲弾の破片などから乗員を保護できる水準です。

PVPには、ABS（アンチロック・ブレーキ・システム）やESC（横滑り防止装置）、エアコン、オートマチックトランスミッション、車内から制御できるタイヤ空気圧調整機構など、最新の機能が搭載されています。窓ガラスは厚さ6.6cm、装甲板はセラミックや金属などの複合素材で作られており、高い防御性能を実現しています。

バリエーション

PVPには、任務に応じていくつかのバリエーションが存在します。

「兵卒」モデル (Rang): 巡回や護衛任務向けに、足場や手すりが装備されています。
「指令」モデル (Command): 歩兵指揮車として使用されます。
PVP/HD (Heavy Duty): 車体が延長され、ドアが5枚に増えています。
PVP/XL: 法執行機関向けの車両で、フランス憲兵隊の装甲車両 (VBG) の一部として採用されています。

運用状況

PVPは、フランス陸軍を中心に、チリ、ルーマニア、セネガル、トーゴなどの国々で運用されています。フランスでは、2004年に933両が発注され、その後も追加発注が行われましたが、一部キャンセルもありました。2012年までに963両がフランス軍で供用されましたが、部品不足などから稼働率は低い時期もありました。

登場作品

PVPは、映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト|ミッション:インポッシブル_フォールアウト』に、RAID（フランス国家警察の特殊部隊）の車両として登場しました。

PVPは、その高い汎用性と防護性能から、様々な任務で活躍する装甲車両です。

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