PAPI

PAPI（精密進入角指示灯）とは

PAPIは、航空機が滑走路に接地する際に必要な適正な進入降下角度を視覚的に示すために設置された灯火です。主に滑走路の左側に位置し、航空機がこの灯火を見ることで自身の降下角度を調整できます。 PAPIは4灯の横一列で構成され、それぞれが赤または白の光を発します。この光は、航空機の操縦席からの位置によって異なる色合いを持って見え、これによりパイロットは現在の進入角度を判断することができます。

進入角度の重要性と設定

一般的に、航空機の進入降下角度は3度と定められており、滑走路端付近では、計器着陸装置（ILS）のグライドパスも同様に3度に設定されています。この3度の角度は、滑走路への安全な接地に必要な条件であり、PAPIは航空機からの視点でこの適正角度を色で示します。しかし、地形や周辺環境により、空港ごとに進入角度は微調整されることがあり、具体例として千歳基地では2.7度、小松空港では2.5度とされていました。

設置要件

PAPIは、ILSが設置されている滑走路において設置が義務付けられていますが、ILSが無い滑走路でも設置されることが一般的です。同様の機能を持つVASISという設備は存在していますが、PAPIの精度と性能の高さから、日本国内では全てのVASISがPAPIに置き換えられました。

PAPIの設置位置は、滑走路の末端で航空機の車輪がクリアランスを取るために、最適な高さに調整されなければなりません。大型機の基準であるMEHTに基づく位置設定を行い、これによって進入時に航空機の位置が適切に保たれます。特に、滑走路が短い場合には簡易型PAPI（A-PAPI）が用いられることもあり、こちらは2灯式となっています。

見え方の詳細

PAPIの色の見え方は、進入角度によって異なります。公称進入角度が3度の場合の視認性は以下の通りです：
1. 全灯が白 - 進入コースよりかなり高い。
2. 左2灯白、右2灯赤 - 進入コースが適正。
3. 左1灯白、右3灯赤 - 進入コースよりやや低い。
4. 全灯が赤 - かなり低い。

また、PAPIは滑走路の右側に設置される場合もあり、この場合の色の組み合わせは左側の灯火と対称になるように設計されています。

ヘリコプター用PAPI（HAPI）

ヘリコプター専用の進入角指示灯であるHAPIも存在します。HAPIは進入角を1度から12度まで設定でき、周囲の状況に応じて灯の色が変化します。これにより、複数の方向に対応した進入角を示すことが可能です。日本国内ではこのHAPIは公共のヘリポートには未だ設置されていません。

以上のように、PAPIは安全で正確な航空機の進入を支える重要な設備であり、航空業界において非常に役立つ役割を果たしています。

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