PeerTube

PeerTubeとは

PeerTube（日本語: ピアーチューブ）は、オープンソースとして設計された分散型の動画共有プラットフォームです。2015年にChocobozzzによって開発が始まり、現在はフランスの非営利団体Framasoftによって支援されています。PeerTubeは、ActivityPubとWebTorrent技術を利用して運営されており、これにより異なるサーバー間での負荷を軽減し、より効率的な動画配信を実現しています。主な目的は、YouTubeやVimeo、Dailymotionといった集中型プラットフォームの代替手段を提供することです。

運営の仕組み

PeerTubeは、各インスタンスが独立したウェブサイトを運営しており、その外観や機能はサーバーごとに異なります。各インスタンスは共通のルールを持つことができ、連合を形成することで、個々のインスタンスがホストしている動画を他のインスタンスでも視聴可能にすることができます。この仕組みにより、ユーザーは独立したインスタンスからの動画を一同に集めて楽しむことができます。

PeerTubeでは、動画はP2P（ピア・ツー・ピア）形式で配信され、インスタンスに接続したユーザーは互いに中継地点となり、効率的な動画視聴をサポートします。このような設計により、サーバーの負荷を軽減しながら、ユーザーに充実した視聴体験を提供します。

歴史

PeerTubeの開発が始まったのは2015年でしたが、2017年にはFramasoftが幅広く連携するためのキャンペーン「Contributopia」を立ち上げ、Chocobozzzを採用しました。2018年にはKissKissBankBankでクラウドファンディングを実施し、53,100ユーロの資金を確保しました。この結果、同年3月には最初のベータ版がリリースされ、10月には公式な安定版が公開されました。

最初のリリースからわずか数か月後には、113のインスタンスが稼働し、10,000本以上の動画が投稿されるなど、急速に普及しました。この背景には、Blenderの公式YouTubeチャンネルが動画公開時にサブスクリプション収益化設定の不具合により動画をブロックされた事例があり、これを受けてBlender FoundationがPeerTubeインスタンスを開設し、動画の公開を始めたことも影響しています。

技術的特長

PeerTubeは、動画の配信にWebTorrent技術を導入しており、各サーバーはトラッカーをホスティングし、ユーザーのウェブブラウザでもそれを共有する仕組みを持っています。これにより、サーバーとクライアント間の負荷を効率よく分散することができます。

また、PeerTubeはActivityPubプロトコルに基づいて動作し、他のプラットフォームとの相互運用性を持っています。これにより、例えばマストドンアカウントから直接PeerTubeの動画にコメントすることが可能になり、全体として「エコシステム」を形成することができます。これによって、GAFAなどによる集中管理からの解放を目指し、検閲やDDoS攻撃に対抗できるシステムを構築しています。

PeerTubeはPostgreSQLを利用し、さまざまな動画プラットフォームとの統合を進めています。これにより、ユーザーがより多くのコンテンツにアクセスできるようになります。これまでの問題点を克服し、自由でオープンな動画共有環境を提供するPeerTubeは、今後もその影響力を拡大していくでしょう。

もう一度検索