Play A Love Song

宇多田ヒカル「Play A Love Song」：CMソングから生まれた高揚感溢れる一曲

「Play A Love Song」は、宇多田ヒカルが2018年にリリースした配信限定シングルであり、サントリー 南アルプススパークリング「SWITCH & SPARKLING」のCMソングとして話題を集めました。この楽曲は、宇多田自身が出演するCMのために書き下ろされ、CMの世界観と見事に調和した、爽やかでアップリフティングなサウンドが特徴です。

制作の背景

楽曲のリリースは、2018年4月19日に発表されました。サントリーの公式YouTubeチャンネルでは、CM本編映像やメイキング、宇多田ヒカルのインタビュー映像が公開され、楽曲への期待感を高めました。ラジオでのオンエアはリリース前日の4月24日からスタートし、雑誌「SWITCH」5月号では宇多田ヒカルの特集が掲載されるなど、多角的なプロモーションが展開されました。

宇多田は以前にもサントリー天然水のCMで「道」や「大空で抱きしめて」といった楽曲を提供しており、今回のCMでも同じ監督や撮影スタッフが参加しています。歌詞の一節「長い冬が終わる瞬間」は、極寒の地でのCM撮影中にインスパイアされたもので、当初はハミングで表現される予定だった歌唱シーンに、急遽歌詞が追加されたというエピソードも存在します。

音楽性と歌詞

「Play A Love Song」は、四つ打ちのビートとピアノが主導する、高揚感溢れるメロディーが特徴です。特に注目すべきは、8人編成の女性コーラス隊によるバックボーカルで、楽曲に壮大さと奥行きを与えています。音楽ジャーナリストの宇野維正は、このコーラス隊の役割を「ゴスペルにおける聖歌隊の役割を倣ったもの」と指摘しており、宇多田ヒカルのボーカルとの掛け合いが、楽曲に独特の魅力を加えています。高橋芳朗は、「終盤にゴスペルのコーラスも入ってくる高揚感のあるダンスミュージックなんですけど享楽的な感じはまったくなくて、むしろ凛とした透明感が魅力」と評しています。

歌詞についても、宇多田ヒカルは「久々に言葉の響きや語呂遊びで"遊べた"気がする」と語っており、白州正子のエッセー『名人は危うきに学ぶ』に触発され、「余裕」を持って楽曲制作に臨めたことを明かしています。

リリースとプロモーション

楽曲は2018年4月25日に配信限定シングルとしてリリースされ、iTunes Store、mora、レコチョクなどで音源が配信されました。同年6月30日には、NHKの『SONGSスペシャル 宇多田ヒカル』に出演し、楽曲を披露しました。また、雑誌「SWITCH」では宇多田ヒカルの特集が組まれ、デビュー20周年を迎える宇多田のロングインタビューや、彼女に影響を与えた様々な事柄が紹介されました。

ライブでの披露

宇多田ヒカルの12年ぶりの国内ツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」では、「初恋」の直後にこの楽曲が披露されました。ライブでは、ドラムにトリガーセットを使用することで、CDと全く同じ音色を再現しながら、人力によるグルーヴを生み出すという、高度な演奏技術が用いられました。

チャート成績と評価

「Play A Love Song」は、オリコン週間デジタルシングルランキングやBillboard Japan Download Songsで1位を獲得し、Billboard Japan Hot 100では初登場4位にランクインしました。2018年の年間ランキングでも上位に食い込み、日本レコード協会からはゴールド認定を受けています。

「Play A Love Song」は、CMソングとしてだけでなく、宇多田ヒカルの音楽的な才能が存分に発揮された、完成度の高い楽曲として評価されています。ゴスペルコーラスを取り入れた斬新なアレンジや、爽やかで高揚感溢れるメロディーは、聴く人の心を魅了し、CM映像と共に記憶に残る一曲となっています。

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