Po-2 (航空機)

ポリカールポフ Po-2の概要

ポリカールポフ Po-2（ロシア語: Поликарпов По-2）は、ソビエト連邦のポリカールポフ設計局によって開発された、単発の複葉練習機です。制式名称はU-2（ロシア語: У-2）であり、他国では十月革命後にソ連が自主開発した最初の航空機として知られています。20世紀前半には、40,000機以上が生産され、複葉機としては最多生産を誇ります。

開発の背景

1920年代後半、U-1練習機が時代遅れとなり、ソ連は新しい練習機の開発を指示しました。これを受けて、ポリカールポフ設計局が設計した機体がU-2として採用されました。Po-2は、アブロ504のような第一次世界大戦機に似ていますが、新設計の固定式発動機を搭載しており、潤滑油消費量や騒音面で大きな改善が見られました。

特徴と運用

Po-2の最も際立った特性は、その優れた安定性です。錐揉み状態に入ることが困難で、仮にそうなった場合でも簡単に回復できる特性があり、これが初歩的な練習機としての適応性を高めました。多くの軍や民間で使用され、多くの操縦士が育成されました。

1930年代中頃以降、単葉戦闘機の時代が訪れると、ソ連空軍はUT-2練習機に移行し、Po-2は民間用の練習機や雑用機に転用されました。安定性が高いため、農業の分野でも農薬散布のための飛行に使用されるようになりました。

第二次世界大戦とその後の利用

第二次世界大戦中、Po-2は一線級の兵器としては劣っていましたが、その特性から新たに評価されました。特に、その短い離着陸距離は、ドイツ軍の後方ゲリラ部隊との連絡において有用でした。また、メッサーシュミット Bf109やフォッケウルフ Fw190の失速速度を下回る速度での飛行が可能であり、戦術偵察機や観測機としても活躍しました。敵レーダーの死角となる超低空飛行能力と木製帆布張りの構造により、レーダーに捉えられにくいという特長もありました。

これらの特性により、孤立部隊への夜間補給物資の投下など、特殊任務にも広く利用されました。騒音を低下させるための消音器を装備することで、夜間襲撃機としての役割も果たしました。1943年には、女性パイロットによる第588夜間爆撃機連隊が編成され、ドイツ軍は彼女たちの存在を「夜の魔女たち」と呼びました。この部隊の活動は1981年に映画『対独爆撃部隊ナイトウィッチ』として描かれました。

改名と最終的な生産終了

1944年に設計者ポリカールポフが亡くなると、彼の功績をたたえる意味も含め、後期型はPo-2に改名されました。戦後、Po-2は東側諸国に広く提供され、ライセンス生産も行われました。しかし、木製の骨組みと帆布張りの構造はメンテナンスが手間となり、同じ任務に対応できるヘリコプターが登場してくると、1950年代以降の生産は終了しました。

性能と派生型

Po-2の性能は、第一次世界大戦の戦闘機と同等の水準にありました。機体は木製骨組に帆布張りの複葉機で、主翼はN字型支柱と補助張線で支持されています。通常は複座で設計されていますが、単座バージョンや、人数を載せられる傷病兵輸送型なども存在しました。また、緊急時の使い方や、曲技飛行にも使用されました。

基本的な仕様は以下の通りです：

• - 全長：8.17 m
• - 全幅：11.40 m
• - 自重：770 kg
• - 最大速：150 km/h
• - 乗員：2名
• - 武装：ShKAS機銃、50kg爆弾×6の搭載が可能

Po-2は、そのレトロなデザインと歴史的役割を今でも多くの人に記憶されています。

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