Porno Graffitti Visual Works OPENING LAP

ポルノグラフィティの軌跡を辿る初期映像作品集『OPENING LAP』

2001年3月14日、日本の音楽シーンに新たな旋風を巻き起こしつつあったデュオ、ポルノグラフィティ。彼らの音楽性とクリエイティビティを鮮やかに映し出した初のミュージックビデオ集『Porno Graffitti Visual Works OPENING LAP』が、SME RecordsよりVHSとDVDの2形態でリリースされました。

この作品は、デビュー曲「アポロ」から、当時の最新曲「サボテン」までの全5曲のミュージックビデオを収録。それぞれの楽曲の世界観を最大限に引き出す演出と、高い映像技術によって、見る者を魅了する作品となっています。

特に注目すべきは、楽曲の世界観を視覚的に表現した演出です。「アポロ」では、月面や宇宙服など、楽曲のテーマを象徴するアイテムが登場し、壮大な宇宙空間を彷彿とさせる映像が展開されます。「ヒトリノ夜」は、白黒を基調としたモノクロームの映像で、楽曲の持つ独特の雰囲気を際立たせています。一瞬だけ挿入されるカラー映像は、観る者に強い印象を与えます。また、「ミュージック・アワー」や「サウダージ」では、メンバーが特殊メイクを施し、老人を演じるなど、楽曲の世界観を深く追求した表現が見られます。そして「サボテン」では、モーションコントロールという当時としては最先端の撮影技術を用い、ダイナミックな映像表現を実現しています。

ミュージックビデオ以外にも、作品には貴重な映像が収録されています。 「ダイアリー00/08/26」と題されたメイキング映像では、ミュージックビデオの撮影風景や制作過程を垣間見ることができ、楽曲制作の裏側や、メンバーの創作への情熱を肌で感じ取ることが出来ます。さらに、テレビCM集も収録されており、当時のプロモーション活動の様子も知ることができる貴重な資料となっています。

興味深いのは、「ダイアリー00/08/26」で取り上げられている楽曲「サボテン」が、歌詞のあるカップリング曲でPV化された唯一の作品である点です。歌詞のないカップリング曲のPVが存在するのは、シングル「音のない森」収録の「awe」と「sonic」のみです。この事実からも、この作品が、いかに彼らの初期の活動における重要な記録であるかが分かります。

全てのミュージックビデオの撮影監督を務めたのは、板谷宏幸氏。彼の卓越した技術とセンスが、ポルノグラフィティの音楽をさらに魅力的に彩っています。

その後、ビデオクリップ集のリリースは途絶えていましたが、デビュー10周年を記念して、2009年9月9日に『OPENING LAP』として再発売されました。8年半ぶりのビデオクリップ集リリースということもあり、トールケース仕様に変更され、価格も改定されました。この再発によって、より多くのファンが本作を手に入れることが出来るようになりました。

『Porno Graffitti Visual Works OPENING LAP』は、単なるミュージックビデオ集ではありません。初期のポルノグラフィティの音楽性とクリエイティビティ、そして彼らの情熱を凝縮した、まさに彼らの歴史を刻む貴重な作品であり、長く愛される名作と言えるでしょう。

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