Prism (m-floの曲)

m-flo 11thシングル『prism』：21世紀への序章

2001年5月9日、m-floの11枚目のシングル『prism』がリリースされました。このシングルは、同年リリースされたセカンドアルバム『EXPO EXPO』からのリカット作品であり、完全受注生産という、当時としては珍しい販売形態が採用された点が注目を集めました。

『prism』の楽曲は、リリース前にTakuが「21世紀へのアプローチの曲」とコメントしており、新時代の幕開けを予感させる意欲的な作品であったことが伺えます。シングルには、オリジナルバージョンに加え、Taku Takahashiによる「LIVING in TOKYO remix」など、複数のリミックスバージョンが収録されています。オリジナルバージョンが選曲されたのは、ファン投票の結果によるものでした。

さらに、『prism』には、楽曲「come again」のリミックス素材音源が5パートに分割された形で収録されていることも大きな特徴です。この素材を用いた「come againリミックスコンテスト」が開催され、多くのクリエイターが参加しました。コンテストの優勝作品である境亜寿香による「come again (Tokyo Cafe Remix)」は、後にリリースされたリミックスアルバム『EXPO防衛ロボット GRAN SONIK』に収録されています。これらの試みは、リスナー参加型の音楽制作という新しい潮流を象徴するものでした。

ミュージックビデオも特筆すべき点です。VERBAL、☆Taku、LISAをモデルとしたアニメーションで制作されており、独特の世界観と高いクオリティが話題を呼びました。その後リリースされた14枚目のシングル『Dispatch』のミュージックビデオは、『prism』のビデオの続きという構成になっており、ストーリー性のある展開がファンを魅了しました。さらに、2005年リリースのアルバム『BEAT SPACE NINE』に収録されたm-flo loves LISA「TRIPOD BABY」のミュージックビデオでも、『prism』のビデオに登場したキノコなどのキャラクターが登場しています。ただし、VERBAL、☆Taku、LISAをモチーフにしたキャラクターのデザインは変更されています。

『prism』は、単なるシングルリリースという枠を超え、リミックスコンテストや連作ミュージックビデオといった、多角的な展開によって、リスナーとの深い関わりを生み出した作品と言えるでしょう。音楽作品そのものだけでなく、付加価値の高い企画によって、リスナーを惹きつけ、m-floというアーティストの創造性を多面的に示した重要な作品として、音楽史に刻まれています。楽曲そのもののクオリティに加え、様々な試みが凝縮された『prism』は、m-floの代表作の一つとして、高く評価されています。その影響は、後年の作品にも色濃く反映されていると言えるでしょう。

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