Project Engine

Project Engine：NECのゲーミングPC事業復活戦略

NECパーソナルコンピュータ（NEC PC）は、eスポーツ市場の拡大を受け、2019年8月5日にゲーミングパソコン開発プロジェクト「Project Engine」を発表しました。これは、従来の「LAVIE」シリーズにおけるプロフェッショナル、教育、家庭向けに加え、新たな市場開拓としてゲーミング分野への進出を意味するものでした。

NECは、1979年に発売されたPC-8001がゲームプレイ可能なマシンであった点を強調し、長年にわたるゲーム用PC開発の歴史を継承する事業の「復活」と位置付けました。 レノボのゲーミングPCブランド「Legion」とは一線を画し、台湾のベンダーとの協業により、ミドルレンジユーザーをターゲットとした独自プラットフォームの開発を目指しました。

プロジェクトのロゴと名称は、NECホームエレクトロニクスが発売したゲーム機「PCエンジン」から着想を得ています。不死鳥であるフェニックスをモチーフにしたデザインは、ゲーミング事業の復活を象徴的に表現しています。

日本の競合他社である富士通クライアントコンピューティング（FCCL）も、同様の市場動向を受け、「FMV-ESPRIMO」ブランドからゲーミングPCを展開していました。2019年2月には「WD-G/D1」、7月には「WD-G/D2」、2020年10月には「WD-G/E2」、2021年10月には「WD-G/F3」と、ワークステーションをベースとしたゲーミングデスクトップPCを順次リリースしています。 これらの製品は、Project Engineの取り組みと比較検討されるでしょう。

2021年1月7日、NEC PCはCES 2021において、オプションでゲームパッド型のゲームコントローラーを装着可能なノートPC「LAVIE MINI」を発表しました。当初はProject Engineとの関連性が明確に示されていませんでしたが、後に本プロジェクトの開発製品であることが正式に発表されています。これはコンシューマーゲーム機のような使い勝手を実現する試みとして注目されました。

そして、2022年7月5日、Project Engineの第一弾製品としてデスクトップPC「LAVIE GX」が発表されました。「和モダン」を意識したデザインで、筐体には黒一色の「和柄五崩し」が採用されています。これは、日本の伝統的な美意識を取り入れたゲーミングPCという、他社製品には見られない独自性を打ち出しています。

「Project Engine」は、NECが長年のPC開発ノウハウを活かし、eスポーツ市場に参入するための戦略的取り組みです。 「LAVIE MINI」のような革新的な試みと、「LAVIE GX」のような伝統と現代性を融合させたデザインは、NECのゲーミングPC事業における新たな方向性を示しています。今後の展開にも注目が集まります。

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