Pure White

『Pure White』：中山美穂の16枚目のアルバム

1994年6月8日、キングレコードより発売された中山美穂の16枚目のオリジナルアルバム『Pure White』（ピュア・ホワイト）は、彼女が1992年の『Mellow』に続くセルフプロデュース作品として注目を集めました。キャッチコピーは「美穂じゃないよ、コレ」と、従来のイメージを覆すような意欲的な内容がうかがえます。

ロサンゼルス録音と豪華アーティスト陣

本作はロサンゼルスでレコーディングされ、サウンド面でも新たな挑戦がなされています。楽曲提供には、当時、彼女が出演していたTBS系ドラマ『もしも願いが叶うなら』で共演したTo Be Continuedの岡田浩暉、FLYING KIDSの浜崎貴司、そして人気シンガーソングライターのCharaと、豪華な顔ぶれが揃っています。さらに、中山のコンサートツアーのバックバンドであるKNACKが全編を通して楽曲提供と演奏を担当、一貫性のあるサウンドを作り上げています。

多様な楽曲群とセルフプロデュースの深化

アルバムには、シングルカットされた「Sea Paradise -OLの反乱-」の他、中山美穂自身の作詞作曲による「Panorama」（1990年のアルバム『Jeweluna』以来4年ぶりの本人作曲）や、様々なアーティストとの共作、そしてKNACKによる楽曲など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。「Panorama」には、フリーアナウンサーの古舘伊知郎がナレーションで参加しているなど、意外なコラボレーションも見られます。また、To Be Continuedが提供した楽曲は、後に彼らのアルバム『BEYOND THE LIGHT…』で「明日へのアクセント」としてセルフカバーされています。

アルバムの楽曲制作には、作詞・作曲・編曲に携わったKNACK、ATOM、U-SUKEを始め、Jeff Pfeifer、Rob Pfeiferといった海外のミュージシャンも参加しており、国際的なサウンドプロダクションを感じさせます。作詞では、浜崎貴司、水野十六、Charaといった多彩な作家陣が中山美穂と共に作品を作り上げています。

コンサートツアーとライブアルバム

『Pure White』を引っ提げ、中山美穂は全国38公演の大規模なコンサートツアー『Miho Nakayama Concert Tour '94 "Pure White"』を開催。さらに、デビュー10周年を記念した追加公演『Special Pure White』も東京ベイNKホールで行われました。この年のライブビデオは発売されませんでしたが、8年ぶりとなるライブアルバム『Pure White Live '94』がリリースされ、ツアーの熱気を記録しています。アルバムのアートワークは、サカグチケンが担当しています。

再発盤とレガシー

『Pure White』は2015年に廉価盤として再発売され、25作品を同日リリースした「30th Anniversary Original Album Collection」に含まれています。リマスタリングされた音質で、再び多くの人々に聴かれる機会を得ました。

『Pure White』は、中山美穂のキャリアにおいて重要な転換期を示す作品です。セルフプロデュースの深化、豪華アーティストとのコラボレーション、そして大規模なコンサートツアーと、多角的に彼女の音楽性を提示したと言えるでしょう。このアルバムは、彼女の音楽的探求と表現力の高さを示す、重要なマイルストーンとなっています。

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