Qシート

Qシート（キューシート、Q SEAT）

Qシートは、東急電鉄が提供する有料の座席指定サービスです。2018年12月14日にまず大井町線で導入され、その後東横線にも拡大されました。このサービスは、主に平日夜間に運行される急行列車の特定車両で提供され、快適な着席通勤・通学などをサポートすることを目的としています。

利用方法

Qシートをご利用いただくには、通常の乗車券に加え、「列車指定券」のご購入が必要です。指定券料金は、大井町線・東横線ともに一律500円となっています（導入時は大井町線で異なる料金設定もありました）。

指定券は、ご利用当日の朝5時から、ご乗車になる列車の発車時刻1分前までご購入いただけます。主な購入方法はオンラインのチケットレスサービスですが、Qシート列車が停車する一部の駅窓口でも取り扱っています。東横線においては、横浜駅でも購入が可能です。

2024年12月17日からは車内での販売も開始されました。ただし、渋谷駅、中目黒駅、大井町駅といった一部の駅では、購入方法が異なる場合がありますのでご注意ください。

車両設備

Qシート車両は、一般車両との識別のために、車体側面に専用のラッピングが施されています。大井町線で使用される車両は橙色、東横線で使用される車両は赤色を基調としたデザインです。

座席には、進行方向に対して座席を配置するクロスシートと、通路に対して平行に配置するロングシートを切り替えられる「デュアルシート」が採用されています。Qシート指定列車として運行されない時間帯は、一部列車を除きロングシートの状態で使用されます。

快適性を向上させる設備として、Free-WiFiサービスが利用できるほか、各座席（一部を除く）にはパソコンやスマートフォンの充電に便利な電源コンセント、飲み物を置くためのカップホルダーが備えられています。

運行状況 - 大井町線

大井町線におけるQシートサービスは、2018年12月14日の運用開始以来提供されています。

対象となるのは、主に急行列車として運行される7両編成の6000系または6020系車両で、編成中の3号車がQシート車両となります。運行本数は、平日の17時から21時台にかけて大井町駅を発車する長津田行きの急行列車が9本です。

Qシート車両への乗降は、3号車の大井町駅寄りのドア1箇所のみに限定されています。

列車指定券を利用して乗車できるのは、大井町線内の大井町駅から二子玉川駅までの各停車駅です。降車については、大井町線内および田園都市線直通区間を含む、Qシート列車が停車する全ての駅で可能です。

サービス開始当初の2023年3月17日までは、たまプラーザ駅と長津田駅の間は列車指定券なしで利用できるフリー乗車区間とされており、料金も400円でしたが、現在は指定券利用区間・料金ともに変更されています。

運行状況 - 東横線

東横線では、大井町線での導入に続いてQシートサービスが設定されました。

東横線のQシート車両は、5050系4000番台の10両編成に組み込まれています。当初は4号車と5号車が対象として設定され、2022年10月24日から一般営業運転を開始しましたが、有料座席指定サービスとしての運用は2023年8月10日から始まりました。

運行は平日の18時から21時台にかけて、渋谷駅を発車する元町・中華街行きの急行列車で実施されています。2024年5月7日からは、設定列車が5本から7本に増強されました。

車両設定には変更があり、2024年5月7日以降は5号車のみが有料のQシート指定席となり、4号車は引き続きQシートラッピングのままですが、列車指定券なしで利用できる一般車両（ロングシート）として運用されています。乗降ドアは5号車の渋谷駅寄りの1箇所のみです。

列車指定券を利用して乗降できる区間は、東横線内の渋谷駅から横浜駅までの各停車駅です。横浜駅以降のみなとみらい線内（元町・中華街方面）は、列車指定券が不要なフリー乗降区間となります。降車は、東横線内・みなとみらい線内を含む全停車駅で可能です。

Qシートの利用促進を図るため、2023年11月13日から12月29日までの期間には、座席指定券を通常料金の半額となる250円で購入できる「おためし半額キャンペーン」が実施されたことがあります。

関連事項

東横線においては、Qシートサービス開始に先行して、西武鉄道などが運行する全席指定制の列車「S-TRAIN」も乗り入れています。Qシートは東急電鉄が独自に提供するサービスであり、主に平日夜間の着席ニーズに対応するという点でS-TRAINとは異なる性質を持っています。

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