QF 3.7インチ山岳榴弾砲

オードナンス QF 3.7インチ山岳榴弾砲

オードナンス QF 3.7インチ山岳榴弾砲は、イギリス陸軍が第一次世界大戦および第二次世界大戦で使用した山砲です。険しい地形での運用を想定して開発され、分解して運搬できる点が特徴です。

開発の経緯

20世紀初頭、イギリス領インド帝国軍は新型山砲の開発を要求しましたが、財政的な理由から実現しませんでした。しかし、第一次世界大戦が勃発すると状況は一変し、1915年に開発が承認され、1917年にはQF 3.7インチ砲が完成しました。完成した砲は、メソポタミア戦線に投入され実戦を経験しました。

第二次世界大戦では、北アフリカ戦線、イタリア戦線、ビルマ戦線など、広範囲な地域で使用されました。空挺部隊にも配備され、その機動性を活かした運用がなされました。

戦後、イギリス軍では第一線から退きましたが、一部がフランス軍に供与され、第一次インドシナ戦争に投入されました。

概要

QF 3.7インチ砲は、その機動性が最大の特徴です。8つの部品に分解して荷駄で運搬でき、分解作業は2分、組み立て作業は3分で完了します。イギリス陸軍の火砲としては初めて開脚式砲脚を採用し、広い水平射角と高い仰角を確保しました。

使用できる砲弾は、榴弾、榴散弾、発煙弾、照明弾など多岐にわたり、第二次世界大戦中には対戦車戦闘用の成形炸薬弾も開発されました。

初期型は木製のスポーク式車輪を装備しており、2頭の馬で牽引されましたが、戦間期に空気入りゴムタイヤに換装され、ジープやユニバーサル・キャリアなどの軽車両での牽引も可能になりました。

スペック

口径：3.7インチ（94mm）
全長：データなし
全幅：データなし
重量：1610ポンド（729.33kg）
砲身長：43.5インチ（1104.9mm、11.8口径）
仰俯角：-5°~+40°
左右旋回角：40°
運用要員：データなし
発射速度：データなし
射程：5,899ヤード（5,394m）
運用期間：1917年~1960年
生産総数：データなし

関連項目

* 山砲

QF 3.7インチ山岳榴弾砲は、その高い機動性と多様な戦線での活躍により、イギリス軍の砲兵戦力において重要な役割を果たしました。第一次世界大戦から第二次世界大戦、そしてその後の紛争まで、長きにわたり使用された名砲といえるでしょう。

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