ユニバーサル・キャリア

ユニバーサル・キャリア：連合軍を支えた小さな巨人

ユニバーサル・キャリアは、第二次世界大戦において連合国軍の勝利に大きく貢献した装軌式汎用輸送車です。ブレンガンキャリアという愛称で広く知られていますが、必ずしもブレン軽機関銃を搭載していたわけではありません。人員や物資の輸送、機関銃搭載車両として幅広く活用され、その活躍ぶりから「史上最も活躍した豆戦車」と評されることもあります。

設計

ユニバーサル・キャリアの設計は、1920年代に開発されたカーデンロイド・キャリアの影響を受けています。1936年、ヴィッカース・アームストロング社からブレンガンキャリアとして初公開されました。その後、様々な派生型が登場する中で、量産効率の観点から1940年にユニバーサル・キャリアとして統一・生産されることになります。

初期モデルでは、操縦手と車長が横に並んで搭乗する配置で、右側に操縦席、垂直レバー式のステアリングハンドルが特徴的でした。車長席前にはブレンガンなどの固定火器を搭載できるスリット付きの覆いが設けられていました。エンジンは車体中央、動輪は後部に配置され、エンジンの両脇には人員や物資を搭載できる空間がありました。

歩兵支援においては、ヴィッカース重機関銃、ブレン軽機関銃、ボーイズ対戦車ライフルを搭載したバージョンや、3インチ迫撃砲を搭載した自走迫撃砲としても運用されました。2ポンド対戦車砲搭載型もありましたが、6ポンド対戦車砲は重すぎて牽引が困難で、17ポンド砲に至っては牽引不可能でした。

前面と側面に武器を搭載可能でしたが、防御力は限られていました。小火器弾や榴弾・手榴弾の破片程度は防げましたが、上面は完全に開放され、側面装甲も地上に立った人間の肩の高さ程度しかなかったため、敵兵が乗り込んできて乗員を殺傷されるケースも発生しました。

カナダ軍が設計・製造したウインザー・キャリアは、ユニバーサル・キャリアと車体形状が類似していますが、全長が長く、転輪数が増加していました。

製造状況

ユニバーサル・キャリアの生産は1934年から1960年まで続けられました。イギリスでは、ソーニクロフト、モーリス・モーター、エーブリング・アンド・ポーター、ベットフォード・ビークルズ、センチネル・ワゴン、フォード・イギリスなどが初期型を製造。ユニバーサル設計になってからは、ソーニクロフト、エーブリング・バーフォード、センチネル・ワゴン、フォード・イギリス、ウーズレー・モーターなどが製造に携わりました。イギリス国内だけで約57,000両が生産されたと推定されています。

カナダのフォード・カナダでも28,000両が生産され、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国などでも生産されましたが、詳細な生産数は不明です。ヨーロッパに送られ連合軍で広く使用された他、ソ連にもレンドリースで供給され、主に偵察部隊で使用されました。

派生型

ユニバーサル・キャリアは、多くの派生型が存在します。主なものを挙げると、イギリスのMk.I、牽引装置付きのMk.II、火炎放射器搭載型ワスプなどがあります。カナダ軍が開発したワスプMk.IICは、燃料タンクを外付けにすることで汎用性を高め、イギリス軍でも採用されました。

オーストラリアではLP1、LP2キャリアが製造され、ニュージーランドにも供与されました。2ポンド対戦車砲や3インチ迫撃砲搭載型も開発され、高い戦闘能力を発揮しました。

アメリカにはT-16がレンドリースで供与され、カナダ軍、戦後はスイス軍やオランダ軍でも使用されました。ドイツ軍は鹵獲したユニバーサル・キャリアを3.7cm PaK 36を搭載した対戦車砲として再利用しました。

実験車両であるPraying Mantisは、ユニバーサルキャリアのオープントップの車体を、操縦手と銃手が腹這いで搭乗できるハードトップに換装し、高い射撃姿勢が取れるように後端を軸に持ち上げられる構造となっていました。

登場作品

ユニバーサル・キャリアは、様々なゲームや映画にも登場しています。『World of Tanks』、『コール オブ デューティ2』、『トータル・タンク・シミュレーター』、『バトルフィールドV』などのゲーム作品や、『史上最大の作戦』などの映画作品で、その姿を見ることができます。

まとめ

ユニバーサル・キャリアは、その汎用性と高い生産性から、第二次世界大戦において連合国軍の戦力増強に大きく貢献しました。小型ながらその活躍は大きく、戦史に名を刻む重要な車両と言えるでしょう。その後の派生型や改良型、そしてゲームや映画への登場など、その影響は現代まで続いています。

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