R・バールキ

インド映画界において、独自の視点とキャリアを持つR・バールキは、監督、映画プロデューサー、そして脚本家として知られています。1965年4月22日生まれの彼は、『Cheeni Kum』『Paa』、そして社会的なメッセージ性の強い『パッドマン 5億人の女性を救った男|パッドマン_5億人の女性を救った男』といった話題作を手がけ、その名を確立しました。

異色のキャリアパス

バールキの映画界への道のりは、一般的なものとは少し異なります。23歳でこの世界に足を踏み入れた彼は、当初、マドラス映画学院で監督としての技術を学ぼうとしますが、程なくして中退という選択をします。そして驚くべきことに、同校の真向かいにあった大学でコンピュータ・アプリケーション学科に進学するという、まったく異なる分野へと転じます。しかし、この大学での生活も長くは続きませんでした。3年間在学したものの、卒業を目前にした最終学年で、彼は再び退学という道を選びます。この異例の経歴について、バールキ自身は、退学の原因はクリケットへの強い情熱と、映画鑑賞に費やした膨大な時間にあったと明かしています。このエピソードは、彼の人生における映画と趣味への一途な愛情を示唆しています。

監督としての飛躍

彼の監督キャリアは、2007年にアミターブ・バッチャンとタッブーを主要キャストに迎えた『チーニー・カム』で幕を開けます。そして2009年には、アビシェーク・バッチャンとヴィディヤー・バーランが出演した『Paa』を監督。この作品は商業的に大きな成功を収めただけでなく、批評家からも高い評価を獲得し、バールキの名を一躍知らしめました。その後も精力的に活動を続け、2015年にはアミターブ・バッチャン、ダヌシュ、アクシャラ・ハーサンを迎えた『Shamitabh』、2016年にはカリーナ・カプールとアルジュン・カプールを起用した『キ&カ 彼女と彼』を監督。そして2018年には、アクシャイ・クマール主演の『パッドマン 5億人の女性を救った男|パッドマン_5億人の女性を救った男』でメガホンを取りました。この作品は、生理用品の普及という社会問題をテーマにした点が評価され、国家映画賞の「その他の社会問題に関する映画賞」を受賞しています。彼は監督業だけでなく、プロデューサーや脚本家としても多くの作品に関わっています。

人物とインスピレーション

私生活では、2007年に同じく映画監督であるガウリ・シンデーと結婚しています。彼のクリエイティブな源泉について語る上で欠かせないのが、音楽への深い愛です。特に、作曲家イライヤラージャを最も敬愛しており、「私の最大のインスピレーションはイライヤラージャの音楽です。そもそも、私が映画に興味を持つきっかけは彼の音楽だったのです」と、その影響の大きさを語っています。また、映画製作においては、撮影監督にP・C・シュリーラームを起用することが多く、長年にわたる信頼関係のもと、数々の映像を生み出しています。

主なフィルモグラフィ

彼が携わった主な作品は以下の通りです。

『チーニー・カム』（2007年）- 監督、脚本
『Paa』（2009年）- 監督、脚本
『マダム・イン・ニューヨーク』（2012年）- プロデューサー
『Shamitabh』（2015年）- 監督、プロデューサー、脚本
『キ&カ 彼女と彼』（2016年）- 監督、プロデューサー、脚本
『Dear Zindagi』（2016年）- プロデューサー
『パッドマン 5億人の女性を救った男|パッドマン_5億人の女性を救った男』（2018年）- 監督、プロデューサー
『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』（2019年）- 脚本

型にはまらない経歴を持ちながらも、独自の視点と感性で観客を魅了し続けるR・バールキは、インド映画界において重要な存在感を放っています。彼の今後の作品にも注目が集まっています。

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