R・A・ラファティ

レイフェル・アロイシャス・ラファティ

アメリカ合衆国のSF作家、レイフェル・アロイシャス・ラファティ（Raphael Aloysius Lafferty、1914年11月4日 - 2002年3月18日）は、その特異な作風で20世紀後半のSF界に異彩を放った。日本ではラファテイ、ラファティーといった表記も見られる。

アイオワ州ネオラに生まれた彼は、アイルランド系の血を引く。作家としてのキャリアを始める前は電気技師として働いていたが、45歳を迎えた1960年に創作活動へと足を踏み入れた。後に語ったところによれば、作家になったきっかけは「禁酒によって人生にぽっかりと空いた隙間」を埋めるためだったという。

ラファティの作品は、アメリカの伝統的な「トール・テイル（ほら話）」を彷彿とさせるユーモアと、常識を覆すような奔放な奇想に満ちた短編が特徴である。一方で、長編作品では、彼自身の内面世界が深く反映された、時に難解とも評される独自の宇宙観を構築した。そのあまりにも個性的なスタイルは、他の誰とも似ていないことから「彼の作品は『ラファティ』という一つのジャンルだ」とまで言われるようになった。

彼は、デーモン・ナイトが編集した伝説的なSFアンソロジー「オービット」シリーズにおいて、ジーン・ウルフやケイト・ウィルヘルムといった同時代の革新的な作家たちと並び、中心的な存在として活躍した。その才能は高く評価され、特に短編「素顔のユリーマ」は1973年にSF界最高の栄誉の一つであるヒューゴー賞の短編小説部門を受賞している。また、逝去した2002年には、再評価されるべき作家に贈られるコードウェイナー・スミス再発見賞を授与された。

晩年はオクラホマ州ブロークン・アローにある養老院で過ごし、2002年3月18日にその生涯を閉じた。

ラファティの著作は多岐にわたり、独特の語り口と世界観は多くの読者に衝撃と感動を与え続けている。代表的な長編には、『トマス・モアの大冒険 -パスト・マスター』、『地球礁』、『宇宙舟歌』、『第四の館』などがある。短編はさらに prolific で、『九百人のお祖母さん』や『つぎの岩につづく』といった傑作集に収められており、特に日本では独自の編纂による短編集が多く刊行されている。彼の作品は、古き良き物語の伝統と最先端のSF的アイデア、そして強烈な個性が奇跡的に融合した稀有な例として、今なお多くのファンに愛されている。

主な著作（一部）

長篇

『トマス・モアの大冒険 -パスト・マスター』（Past Master, 1968）
『地球礁』（The Reefs of Earth, 1968）
『宇宙舟歌』（Space Chantey, 1968）
『第四の館』（Fourth Mansions, 1969）
『イースターワインに到着』（Arrive At Easterwine, 1971）
『悪魔は死んだ』（The Devil Is Dead, 1971）
『蛇の卵』（Serpent's Egg, 1987）

短篇集

『九百人のお祖母さん』（Nine Hundred Grandmothers, 1970）
『つぎの岩につづく』（Strange Doings, 1972）
『子供たちの午後』（Among the Hairly Earthmen, 1982）※日本オリジナル
『どろぼう熊の惑星』（A Lafferty Reader, 1993）※日本オリジナル
『翼の贈りもの』（2011）※日本オリジナル
『昔には帰れない』（2012）※日本オリジナル
『町かどの穴 ラファティ・ベスト・コレクション1』（2021）※日本オリジナル
『ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2』（2021）※日本オリジナル
『とうもろこし倉の幽霊』（2022）※日本オリジナル

（上記リストは一部抜粋であり、全ての著作を網羅するものではありません。）

もう一度検索