R-1 (航空機・日本)

R-1 練習機の概要

R-1（CM-1とも呼ばれる）は、1920年代に石川島飛行機が大日本帝国陸軍向けに開発した試作練習機です。この機体は陸軍から指示を受けて試作され、当時の航空技術の進展を象徴する存在となりました。

開発の背景

1926年、大日本帝国陸軍は新たな練習機の必要性を感じ、石川島飛行機にその開発を依頼しました。これと並行して、陸軍向けのT-2偵察機の開発も進めており、同時期に自社の技術力を高める良い機会と捉えたのです。そこで、石川島飛行機はイギリスから輸入したDH.60の設計資料を元に、さらにドイツから招聘されたグスタフ・ラハマン博士の指導の下、吉原四郎技師が主導となって設計を進めました。

1927年7月には、試作機が完成し、機体の形状は木製骨組と羽布で構成されている複葉機でした。降着装置は固定式で、視覚的にも優れたデザインが特徴的でした。エンジンとしては、石川島がライセンスを得ていた英シラス社製の空冷直列4気筒エンジン「Mk.I」が搭載されました。

性能と評価

R-1は、当時の陸軍の主力であった己式一型練習機との比較において、設計が進歩的であると評価されました。とはいえ、実際の性能は期待に反して不十分であり、特に安定性に問題があるという難点が指摘されました。これにより、陸軍は採用を見送る決定を下しました。

なお、試作当初は「CM-1」という名称が付けられましたが、これは「シラス・モーター」の頭文字から来ていました。しかし、その後「R-1」と改名され、練習機の「R」を冠した名称へと変更されました。これが、R-1が呼ばれるようになった経緯です。

仕様

以下はR-1の基本的な諸元です：

• - 全長： 7.00 m
• - 全幅： 9.60 m
• - 全高： 2.85 m
• - 主翼面積： 23.4 m²
• - 自重： 493 kg
• - 全備重量： 683 kg
• - エンジン： 石川島/シラス Mk.I 空冷直列4気筒（離昇出力80 hp）× 1
• - 最大速度： 120 km/h
• - 巡航速度： 100 km/h
• - 実用上昇限度： 4,000 m
• - 航続時間： 2 時間
• - 乗員： 2 名

R-1の設計と開発は、日本の航空機産業における重要な試みであり、すべての技術者たちが取り組んだ成果でしたが、歴史の中での活躍は限定的でした。今なお、この機体の設計と開発過程は、航空機技術の進展を示す貴重な遺産として評価されています。

参考文献

• - 野沢正『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』出版協同社、1980年

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