R-16 (ミサイル)

R-16（SS-7「サドラー」）

概要

R-16は、1956年にソ連のヤンゲリ設計局によって開発された二段式の大陸間弾道ミサイルです。このミサイルは1961年から1978年にかけて大量に配備され、地上発射型の他に、サイロ発射型のR-16Uも存在しました。これにより、R-16は当時のソ連の核戦力の中心的な存在となりました。

主な特徴

• - 全長: 30.4メートル
• - 直径: 2.4メートル〜3.0メートル
• - 発射重量: 146,600キログラム
• - 射程: 11,000〜13,000キロメートル
• - 弾頭: 単弾頭（異なるタイプにより重量は1,500kgから2,200kgまで）
• - 精度: 2,700〜2,800メートルのCEP（半数命中半径）
• - 誘導方式: 慣性誘導

このように、R-16は高さと長さが共に大きく、長距離の攻撃能力を有することで、その戦略的な役割を果たしました。

事故の経緯

1960年10月24日、バイコヌール宇宙基地ではR-16のプロトタイプが試験の直前に爆発事故を起こしました。この事故は、当時の戦略ロケット軍司令官ニェジェーリンを含む約90名の技術者や軍人の命を奪うもので、爆発の原因は技師による電気系統の修理ミスだったとされています。具体的には、複雑なコネクタの接続ミスにより、ミサイルの第二段エンジンが誤作動を起こし、一段目の燃料タンクが過熱して爆発を引き起こしたのです。さらに、前日からの燃料漏れによって周囲には燃料が充満していたため、状況はより危険なものとなりました。

驚くべきことに、設計者のヤンゲリは事故発生の直前まで現場にいたものの、煙草を吸うために別室にいたことで難を逃れました。

公式発表と情報統制

事故の後、ソ連当局は事件について徹底的な情報統制を行い、関係者や遺族には口外禁止令が出されました。ニェジェーリンらの死因は飛行機事故であると発表され、事故の詳細について知られることはありませんでした。実情が明らかになったのは、なんと1990年になってからのことでした。

西側諸国にも事故の情報が漏れましたが、当初は火星ロケットの事故として扱われ、ICBM関連の事件だとは認識されませんでした。この逸話は、当時の情報統制の厳しさを物語っています。

まとめ

R-16はソ連にとって重要な核兵器であり、技術的な成功を収める一方で、大事故をも引き起こしました。その影響は今なお語り継がれており、冷戦時代の軍事技術の進化と危険性について考える際の重要な事例となっています。

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