R-2 (ミサイル)

R-2 短距離弾道ミサイル

R-2（ロシア語:Р-2）は、ソビエト連邦が開発した短距離弾道ミサイルです。NATOコードネームはSS-2 Sibling、ソ連コードは8Ж38と名付けられました。R-2は、R-1ミサイルの設計を基に開発されましたが、R-1自体がドイツのV-2ロケットのソ連国内での生産型であったため、R-2はV-2の改良型とも言えます。

概要

R-2は、R-1の実験後、すぐにその改良型として開発が始まりました。R-2には、R-1と比較して少なくとも4つの主要な改良点が加えられました。

1. 射程距離の向上: 重量こそ50%増加しましたが、射程距離は2倍以上となる600kmまで延伸されました。
2. 弾頭分離機構: 大気圏再突入前に弾頭がロケットから分離される機構が導入され、V-2やR-1の弱点であった外殻の強度問題が解消されました。
3. 応力外皮構造: ロケットの構造において、R-1では外殻が主な荷重を負担していたのに対し、R-2では燃料タンク自体が荷重を負担する応力外皮構造に変更されました。これにより、ロケット全体の質量が減少しました。
4. 制御モジュールの移動: 制御モジュールは燃料タンクの上から液体酸素タンクの下に移動され、打ち上げ前の準備が容易になりました。また、制御モジュールはエンジンのすぐ上に配置され、振動を減衰させるためにテールコーンには鋼材が使用されました。
5. 命中精度の向上: 無線誘導が導入されたことで、射程距離が倍増したにもかかわらず、R-1と同等の命中精度が確保されました。

最初のテスト飛行は1949年9月に行われ、1951年11月に採用が決定、1953年には多数のミサイルが配備されました。R-1とR-2の合計生産数は1,545基に達しました。

また、R-2を基にした高高度観測ロケット型としてR-2Aが開発されました。R-2Aは、犬や高高度での物理実験器具をノーズコーンに搭載し、大気分析を行うために、エンジンの排気ガスによる汚染を避ける目的で、ミサイルの側面から2つのポッドが排出される形式を採用していました。

1957年12月6日には、ライセンス契約に基づき中国への技術移転が決定し、同年12月24日には2基のR-2ミサイルが北京に到着しました。このミサイルは、中国のロケット開発に大きな影響を与え、DF-1（東風-1）としてコピーされました。

R-2ミサイルは、ソ連におけるドイツの設計に基づいた最後のミサイルとなりました。その後もドイツの影響は残存しましたが、R-2開発後のソビエトのミサイルはOKB-1（コロリョフ設計局）独自の設計に基づいて開発されました。

運用

ソビエト連邦
ソビエト連邦軍

関連項目

G-1: ドイツ人技術者によってV2ロケットの発展型として開発が進められましたが、不採用となりました。
シュペルV-2: 同時期にフランスでドイツ人技術者によってV2ロケットの発展型として開発が進められましたが、上層部の決定により完成しませんでした。
BP-190計画: V2ロケットを有人化し、高度190kmへ弾道飛行させる計画でしたが、実現には至りませんでした。

外部リンク

R-2

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