R-3 (ミサイル)とは？意味をやさしく解説

R-3ミサイルについて

R-3（ロシア語：Р-3）は、ソビエト連邦が開発した空対空ミサイルであり、NATOコードネームはAA-2 アトール（Atoll）です。このミサイルは、アメリカのAIM-9B サイドワインダーに基づくリバースエンジニアリングを通じて開発されました。更に、ルーマニアのA-91や中国のPL-2など、いくつかの国でライセンス生産も行われています。

開発の経緯

1958年9月、金門砲戦の最中に台湾空軍が発射したAIM-9B サイドワインダーが中国のMiG-17に命中しましたが、そのミサイルは不発でした。その後、中国人民解放軍により回収され、テストのためにソビエト連邦に送られました。この出来事をきっかけに、ソビエトの技術者、ゲンナジー・アレクサンドロビッチ・ソコロフスキーは「サイドワインダーはミサイル製造技術の大学であり、我々の新型ミサイル開発へのアプローチを変えた」と述べました。これにより、R-3の初期型の生産が1960年代初頭に開始され、その後量産型のR-3Sも登場しました。

1961年からは新しいセミアクティブミサイルの開発が始まり、1966年にはR-3Rとして実用化されました。さらに、1960年代末にはK-13Mという性能向上型の開発も行われ、1973年にはR-13Mとして制式化されました。最終的には、運動性の向上が図られたR-13M1が開発され、これまでのM型シリーズはアドバンスド・アトール（Advanced Atoll）というNATOコードネームが付けられました。

戦闘での使用

R-3ミサイルは、北ベトナムのMiG-21で運用され、敵に対し一撃離脱戦法が採られました。中東の第三次中東戦争や消耗戦争、第四次中東戦争、レバノン侵攻などでも使用されましたが、イスラエル空軍には対抗できずにいました。アラブ諸国のパイロットの未熟さも影響し、効果的な戦果を上げられなかったと言われています。逆に、イスラエル空軍は1967年の第三次中東戦争で捕獲したR-3Sを評価し、自国製のシャフリル1よりも優れた性能を持つと認識し、ミラージュIII CJに装備しました。

バリエーション

R-3ミサイルにはいくつかのバリエーションがあります：

- R-3（K-13）：初期型
- R-3S（K-13A、オブイェクト310）：量産型
- R-3R（K-13A、オブイェクト320）：セミアクティブ・レーダー・ホーミング型
- R-3U：照準訓練型（シーカーのみ）
- R-3P：発射訓練型（炸薬なし）
- R-3MV：ターゲットドローン
- R-13M（K-13M、オブイェクト380）：性能向上型
- R-13M1：R-13Mの運動性向上型
- A-91：ルーマニアでのライセンス生産型
- PL-2：中国でのライセンス生産型

採用国

R-3ミサイルは、キューバ、エリトリア、北朝鮮、ベトナムなど、さまざまな国で採用されました。これにより、異なる地域の空軍がR-3シリーズを運用し、戦闘機に装備しています。

このようにR-3ミサイルは、空対空戦闘において重要な役割を果たし、いくつかの国で根強い評価を受けている兵器となっています。

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