R-5 (航空機)

シコルスキー R-5（H-5）

シコルスキー R-5（呼称H-5）は、1948年にシコルスキー社により製造されたヘリコプターで、アメリカ空軍、海軍および沿岸警備隊が使用しました。本機はもともとアメリカ陸軍航空軍で採用され、その後、アメリカ郵政省でも用いられるなど、多岐にわたって活躍しました。

設計と開発

R-5はその前身であるR-4の改良型として、より大きな有効積載量と、長い航続距離、高速での飛行、そして高い巡航高度を実現するために設計されました。2人の乗務員がタンデムで座る新しい胴体デザインと大直径の主ローターが特徴であり、その初号機は1943年8月18日に初飛行しています。

1944年3月にはアメリカ陸軍航空軍から26機のYR-5Aが発注され、最初の機体は1945年2月に納品されました。さらに、2床の担架を搭載できるようにした100機分の契約も続きましたが、実際には34機しか納品されませんでした。アメリカ海軍には救難用のホイストや予備燃料タンクを装備した21機のYR-5Aが納入され、その中のいくつかはHO2S-1として評価されました。

その後、1946年2月16日には民間型のS-51が初飛行し、アメリカ空軍のR-5Fや海軍のHO3S-1として広く運用されました。シコルスキー社とイギリスのウエストランド・エアクラフト社との間で、S-51のライセンス生産が契約され、イギリスではウエストランド＝シコルスキー WS-51 ドラゴンフライとしても製造されました。1948年には救難任務に特化したH-5Gが追加生産され、H-5H水陸両用機も登場しました。

運用の歴史

H-5はその運用期間中、救難や救命活動において重要な役割を果たしており、特に朝鮮戦争ではその名が知られるようになりました。この戦争中、国連軍の操縦士を敵の前線後方から救出したり、前線で負傷した兵士を搬送するために、頻繁に呼び寄せられました。その任務の多くは、後にH-19チカソーに代替されるまで続きました。

派生型とその利用

シコルスキー R-5には多くの派生型があり、それぞれが異なる機能や仕様を持っています。主な型にはXR-5、YR-5A、H-5Aなどがあり、特にYR-5Eは複式操縦装置を装備していました。H-5Fは民間型の拡張版で11機が製造され、救難用のH-5Gや水陸両用のH-5Hも登場しました。

このヘリコプターはアメリカ以外でも多くの国で採用されました。オーストラリア、フィリピン、南アフリカなどで運用され、また海上自衛隊によっても使用されました。運用される国によっては、訓練機や哨戒機として利用されることが多かったとされています。

現存機とその展示

現在でも、いくつかのシコルスキー R-5の現存機があり、保存されています。その一部は博物館に展示されており、航空ファンや歴史愛好家にとって重要な資産となっています。特に、オハイオ州のライト・パターソン空軍基地やフロリダ州の全国海軍航空博物館に展示され、多くの人々にその歴史と功績を伝えています。

まとめ

シコルスキー R-5は、技術的な革新や戦争での功績、国際的な運用といった点からも、航空史において重要な位置を占めるヘリコプターです。その多様な派生型や運用実績のすべてが、本機の歴史と魅力を形成しています。

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