R-6 (航空機)

ツポレフ R-6: ソビエト連邦の偵察機と護衛戦闘機

ツポレフ R-6は、ソビエト連邦で開発された多目的偵察機兼護衛戦闘機です。この機体は、1928年にソ連空軍が求めた長距離、多用途の航空機に応える形で設計されました。R-6は、ツポレフの旧型機ANT-7とも呼ばれ、様々な任務をこなすために構成されています。

設計と開発の経緯

この機体の開発は、イヴァン・ポゴススキーの指導の下、そしてアンドレイ・ツポレフの監督のもと、TsAGI（中央航空機設計所）が主導しました。ANT-7の設計は既存のTB-1機体を三分の二に縮小することで実現され、初飛行は1929年9月11日に行われました。

初期の試作機には当初予定されたイスパノスイザエンジンの代わりに、BMW VIエンジンが搭載されました。この機体は数度の試験を経て、最終的には試験をクリアし、正式な兵器として採用されることとなりました。特に、尾翼の振動問題が明らかになった際には、昇降舵を拡大することで改善が図られたことが注目されます。

運用と生産

量産が開始されたのは1931年11月で、以降合計410機が製造されました。その内訳は、385機がGAZ-22（モスクワ）、5機がタガンロクのGAZ-31、20機以上がコムソモリスク・ナ・アムーレのGAZ-12で作られました。R-6は、主に空中偵察や緊急時の護衛任務に従事するために設計されており、最大で113.4 kgの爆弾を搭載し、965.6 kmの距離を飛行する能力を持っていました。

いくつかのR-6はフロートを装備した水上機型KR-6Pとして活用され、さらには巡航偵察機型KR-6も派生型として開発されました。このKR-6は、護衛戦闘機としての役割を担い、武装を強化された設計が特徴的です。

進化と適用

1935年までの一部のR-6機は、時代の変化によってすでに時代遅れとされ、民間機としてアエロフロートやアヴィア・アークティカに移譲されました。これにより、R-6は旅客機としても機能し、水上旅客機型や輸送機型としての派生機が生まれました。

特に注目すべきは、PS-7-2M17という型で、これは北海道で旅客として使用されていたほか、MP-6-2M17という水上機型も存在しました。このようにR-6は、戦時中だけでなく平時にも様々な状況で活躍しました。

事故と事件

運用中の事故も報告されており、例えば1941年6月23日には、PS-7が離陸中に事故を起こし、機体が大破しましたが、乗員は無事でした。また1943年にも、運用者による荷物の不適切な搭載が原因で別の事故が発生しました。このような出来事は、航空機の運用の難しさを物語っています。

要目と性能

R-6の設計仕様は以下の通りです:

• - 乗員: 4人
• - 全長: 15.06 m
• - 翼幅: 23.2 m
• - 空虚重量: 3,856 kg
• - 運用時重量: 6,472 kg
• - 動力: ミクーリン M-17F V-12エンジン（540 kW×2）
• - 最大速度: 230 km/h（海面高度）
• - 航続距離: 800 km
• - 武装: 7.7 mm PV-2機関銃 1丁

まとめ

ツポレフ R-6は、ソビエト連邦の航空機技術において重要な役割を果たし、多くの派生型を生み出しただけでなく、民間機としても利用されました。特に多用途機体としての特性と平時への転用は、航空機の多様な運用を示す好例です。

もう一度検索