BMW VI

BMW VI エンジンの概要

BMW VIは、1920年代にドイツのBMWが開発した液冷式V型12気筒航空用エンジンです。このエンジンは、第一次世界大戦の終了後、大戦間期のドイツにおいて主要な航空エンジンの一つとして広く認識されていました。

設計と開発の背景

BMW VIは、前のBMW IVエンジンの設計を基にしており、その気筒の数が倍増された進化版です。最初に設計されたV型12気筒エンジンは、60度のバンク角を持ち、1926年から生産が開始されました。開始後間もなく、1,000基以上が供給され、その後1930年にドイツが再び軍用機の生産を許可された際には、需要が急増しました。この時期、BMW VIは新たな技術として燃料の直接噴射方式の実験にも使われるようになりました。

主な業績と使用用途

BMW VIは、その高い出力性能と信頼性の高さから、多くの記録を樹立しました。特に注目すべきは、1930年にヴォルフガング・フォン・グロナウがドルニエDo.J飛行艇に2基のBMW VIエンジンを搭載し、世界初となる東から西への大西洋横断飛行を成功させたことです。また、シーネンツェッペリン高速鉄道試験車両にも採用され、230.2 km/hの速度記録を達成しました。

ライセンス生産と国際的な影響

BMW VIはその人気から、さまざまな派生型が開発されただけでなく、日本やソビエト連邦でもライセンス生産されました。日本陸軍はBMW VIを採用し、川崎が製造を担当した際には「ベ式四五〇馬力発動機」として制式名称が付けられました。また、ソビエト連邦ではミクーリンM-17として生産され、1930年から1941年までに27,000基以上が製造されました。これらのエンジンは、ソ連軍の航空機や戦車にも搭載され、独ソ戦ではドイツ軍にとって皮肉な形での要因となりました。

主な搭載機と性能

BMW VIエンジンは、さまざまな航空機に搭載されており、その中にはアルバトロスL 77、アラドAr 64、アラドAr 65、ドルニエDo 10、ハインケルHe 45などが含まれます。また、日本の川崎製の八八式偵察機や軽爆撃機、九二式戦闘機にも使用されました。

性能諸元（BMW VI d）

• - 形式：液冷V型12気筒
• - ボア×ストローク：160mm×190mm
• - 排気量：46.9L
• - 圧縮比：7.3
• - 全長：1,810mm
• - 全幅：859mm
• - 全高：1,103mm
• - 乾燥重量：510kg
• - 出力：750 PS（1,700 rpm）

結論

BMW VIは、その技術的卓越性と相まって、20世紀初頭の航空技術の進歩に大きく貢献しました。多くの国で認知され、製造されたこのエンジンは、航空界における歴史的な存在であり続けています。

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