RAM (ミサイル)

RAM（Rolling Airframe Missile）について

RAM（Rolling Airframe Missile）は、アメリカとドイツが協力して開発した近接防空ミサイルで、主に艦載用の防空システムとして利用されています。このミサイルは、速やかな応答能力や、艦上での誘導システムを必要としない「撃ちっぱなし」機能を備えており、特に対艦ミサイル防御（ASMD）の役割を果たすために設計されています。無駄のないシンプルな構造と高い実用性が特長です。

来歴

RAMの開発は1975年に始まり、翌年には先行量産に向けた了解覚書が締結されました。もともとはアメリカと西ドイツの二国間プロジェクトでしたが、1979年にはデンマークが参加することになりました。開発の初期には既存技術の流用が多く、1978年には初めての試射が実施されました。しかし、開発途中にはデンマークのプロジェクト離脱やキャンセルの危機があったものの、その都度克服され、1987年には量産に関するMOUが締結されました。

設計と機能

RAMは、短射程ミサイルでありながらも、高速な応答時間を実現しています。弾体は「サイドワインダー」空対空ミサイルをベースに設計されており、発射前にターゲットを捉えるためのパッシブレーダーホーミング（PRH）誘導システムを搭載しています。このシステムにより、発射直後から目標を追尾でき、赤外線センサーを用いた赤外線ホーミング（IRH）方式に切り替えることが可能です。

RAMの最大の特色は、「ロール飛行」と呼ばれる飛行方式で、4枚の後翼を使用しながら飛行します。この設計によってミサイルは静止した状態で一方向に向かってロールし、目標に対して有効に誘導されます。これは他のミサイルと大きく異なるポイントで、命中精度を高める効果があります。

発射システム

RAMは、繊維強化プラスチック製のキャニスターに保護され、工場から出荷されます。これにより、海水やその他の腐食要因からミサイルを守ることができ、メンテナンスフリーの状態が実現されています。初期には24連装のEX-144発射機が使用されていましたが、その後21連装のEX-31へと進化し、これが後に制式化されたMk.31 GMWSとして広く利用されています。

さらに、Mk.15 Mod.31 SeaRAMという独立した発射システムも開発され、これには捕捉装置が一体化されています。このシステムは簡易な防空兵器として多くの艦に採用されており、対空FCSを持たない艦艇でも簡単に使用することが可能です。

運用状況

現在、RAMは様々な艦艇に搭載され、特に揚陸艦や航空母艦において重要な防空兵器として運用されています。全体的に、艦艇自衛システム（SSDS）の一部として統合されており、有効な防空能力を提供しています。また、沿海域戦闘艦でもこのミサイルが装備されており、その戦術的運用は広がりを見せています。これにより、艦船の自衛能力が飛躍的に向上しています。

まとめ

RAMは、アメリカとドイツの技術協力の結晶であり、近接防空に特化した非常に優れたミサイルです。その優れた設計と運用機能により、さまざまな海上戦闘における重要な防空火力を提供しています。今後もさらなる技術革新や運用の拡大が期待される、注目に値する兵器です。

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