REX OS

REX OS (Real-Time Executive Operating System) について

REX OS（Real-Time Executive Operating System、レックス オーエス）は、かつてクアルコム（Qualcomm）が携帯電話のベースバンドチップソフトウェアを動作させるために使用していた、ARMベースのリアルタイムオペレーティングシステムです。初期には、cdmaOneやCDMA2000といったチップセットでのみ利用されていましたが、サポートする通信規格の拡大に伴い、W-CDMAやGSM用のチップセットにも適用されるようになりました。

ライセンス形態

REX OSは、クローズドなソースライセンスを採用しており、クアルコムから開発ライセンスを取得しない限り、ソースコードを閲覧することはできません。このライセンス形態は、特定の開発者や企業がシステムを深く理解し、カスタマイズすることを制限しています。

CPUの変遷

REX OSは当初、Intel 80186プロセッサ向けに開発されましたが、その後、ARMプロセッサに移植され、x86アーキテクチャのサポートは終了しました。ARMへの移行は、携帯電話の小型化、省電力化に大きく貢献しました。

主な機能

リアルタイムオペレーティングシステムとして、REX OSは以下の機能を提供しています。

プリエンプティブ・マルチタスク: 複数のタスクを並行して実行し、優先度の高いタスクにCPU時間を割り当てます。
タスク管理: タスクの生成、実行、削除など、タスクの状態を管理します。
タスク同期: 複数のタスクが共有リソースを安全に利用するためのメカニズムを提供します。
排他ロック: 共有リソースへの同時アクセスを制御し、データの整合性を保ちます。
タイマー: 時間ベースのイベントを処理し、遅延処理などを実現します。
割り込み管理: ハードウェアやソフトウェアからの割り込み要求を処理します。


ただし、タスクはメモリ保護機能を持たず、リアルタイムOSとしての機能はタスク管理に限定されています。REX OSのカーネル部分は、携帯電話のベースバンドソフトウェアであるDMSS（Digital Mobile System Software）またはAMSS（Advanced Mobile Subscriber Software）のごく一部（約1％程度）に過ぎません。

REX OSの役割

REX OSは、携帯電話のベースバンド処理の中核を担い、通信機能の安定した動作を支えていました。携帯電話の普及に大きく貢献した技術の一つと言えるでしょう。しかし、そのクローズドな性質から、開発者は特定の制約の中で開発を行う必要がありました。

関連技術

BREW: クアルコムが開発したモバイルアプリケーション開発プラットフォームです。
Brew Mobile Platform (Brew MP): REX OSの後継となる、クアルコムのモバイル専用基本プラットフォームです。REX OSの課題を克服し、より柔軟で高機能な開発環境を提供しています。現在では、より高度なモバイルプラットフォームに役割を譲っています。

REX OSは、過去の技術ではありますが、モバイル通信技術の発展に重要な役割を果たした技術として、その歴史を記憶しておくべきでしょう。

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