RJ500 (エンジン)

RJ500エンジン概説

RJ500は、ロールス・ロイスと日本航空機エンジン協会が共同で開発したターボファンエンジンであり、航空機エンジン技術の国際協力の象徴とも言える存在です。その開発は1970年代後半から始まり、多くの航空機に搭載されることを目的としていました。

開発の背景

RJ500の開発の起点は、航空機用ジェットエンジン技術研究組合によって開発されたFJR710が英国において高空試験を受けたことにより、日本の技術に対する評価が高まったことです。1977年の非公式な打診を経て、1978年にロールス・ロイスが正式に共同開発の提案を行い、1979年12月に開発協定が締結されました。

このプロジェクトにおいて、ロールス・ロイスと日本側の各社が開発を50対50の割合で分担することとなり、高圧系の設計はロールス・ロイス、低圧系は日本側の企業によって担われました。具体的には、石川島播磨重工業、川崎重工業、三菱重工業がそれぞれの割合で開発を分担しました。政府の支援を受けつつ、1980年4月にRolls Royce & Japanese Aero Engines Ltd.(RR-JAEL)が設立され、RJ500-01の開発がスタートしました。

RJ500-01の特徴

RJ500-01は、100から130席の旅客機を対象にした推力約20,000ポンドクラスのエンジンで、燃費効率や公害対策に焦点を当てて設計されました。コストの削減を図るために、構造を簡素化し、高価な材料の使用を抑えることが試みられました。最終的な目標は、JT8Dと比較して燃料消費率を2割削減することでした。

RJ500-01の技術仕様は以下の通りです。

• - 長さ: 2,571 mm
• - 幅: 1,940 mm
• - 高さ: 1,640 mm
• - エンジン重量: 4,116 lb
• - ファン: 1段軸流ファン (外径59インチ)
• - 圧縮機: 9段軸流高圧圧縮機
• - 燃焼器: アニュラー式燃焼器
• - タービン: 2段軸流高圧タービン、3段軸流低圧タービン
• - バイパス比: 4.69
• - 圧縮比: 22.2
• - タービン入口温度: 1,488 K
• - 推力: 20,000 lb
• - 燃料消費率: 0.654 lb/lbf.h

このエンジンの設計と試験が完了し、1985年までに日英両国での地上評価試験が実施されました。

RJ500-35の開発

当初、RJ500-01D4の開発が進められていましたが、航空市場での需要の変化を受けて、より大型の150席機向けのエンジンRJ500-35の開発が決定されました。RJ500-35は推力23,000ポンドクラスを目指しており、基本的にはRJ500-01の設計を基にしつつ、より大きなファンと追加されたブースト段が特徴です。

RJ500-35の主要な諸元は以下の通りです。

• - エンジン重量: 4,896 lb
• - ファン: 1段軸流ファン (外径64インチ)
• - 圧縮機: 1段軸流低圧圧縮機、9段軸流高圧圧縮機
• - 燃焼器: アニュラー式燃焼器
• - タービン: 2段軸流高圧タービン、4段軸流低圧タービン
• - タービン入口温度: 1,525 K
• - バイパス比: 5.12
• - 圧縮比: 31.0
• - 推力: 23,700 lb
• - 燃料消費率: 0.601 lb/lbf.h

最終的に、RJ500プロジェクトは、UTCグループとの合流によりV2500という共同開発プロジェクトへ移行しました。この過程で、航空機エンジン技術における国際的な協力の重要性と、研究・開発の進展が促進されました。これらのエンジンは、航空業界において経済的で環境に配慮した選択肢を提供することを目指しています。

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