ROUND 2

アルバム『ROUND 2』

ABEDON AND THE RINGSIDEが発表した『ROUND 2』（ラウンドツー）は、この日本のロックバンドにとって初めてのオリジナルアルバムとして、2022年11月23日に発売されました。本作は、ソニー・ミュージックアーティスツから供給されています。バンドの活動において新たな一歩を記す作品として、注目を集めました。

作品の構成と音楽性

『ROUND 2』は、合計で10曲が収録されたフルアルバムです。この作品の最大の特徴の一つは、バンドに在籍する5人のメンバーそれぞれが、均等に2曲ずつ作曲を担当している点にあります。これは、メンバー全員の創造性や音楽的アイデアが等しく作品に反映されていることを示しており、特定のメンバーだけが楽曲制作を担う一般的な体制とは一線を画しています。各メンバーが持ち寄った異なる音楽性が融合することで、アルバム全体として多様性に富んだサウンドパレットが構築されています。

また、本作における演奏アプローチも非常にユニークです。収録曲ごとに、メンバーが担当する楽器が固定されていません。通常のバンドでは、ボーカル、ギター、ベース、ドラムといった役割が明確に分かれていることが多いですが、『ROUND 2』では楽曲の持つカラーやアレンジメントの意図に合わせて、メンバーが柔軟に楽器を持ち替えたり、普段担当しないパートを演奏したりしています。この流動的なスタイルは、メンバー各々の多岐にわたる演奏スキルと、音楽的な探求心が生み出したものです。

例えば、リードボーカルを務めるメンバーが他の曲でドラムを叩いたり、ギタリストがベースパートを担当したりするなど、予想外の組み合わせから生まれるサウンドは、リスナーに常に新鮮な驚きを提供します。このような演奏体制は、各楽曲が持つ個性を最大限に引き出すとともに、バンド全体の音楽的表現の幅を大きく広げる要因となっています。メンバーの誰もが特定の楽器に縛られることなく、楽曲が求める音像を実現するために最適な役割を担うことで、より自由で実験的な音楽性が可能になっているのです。

作品の意義

ABEDON AND THE RINGSIDE名義としては初のオリジナルアルバムである『ROUND 2』は、彼らの活動の節目を示す重要な作品と言えます。メンバー全員が作曲に参加し、さらに楽曲ごとに演奏パートを流動的に変化させるという制作・演奏スタイルは、彼らのバンドとしての結束力と同時に、個々のメンバーが持つ高い音楽性と柔軟な姿勢を如実に示しています。全10曲を通して、メンバーそれぞれの個性が光りながらも、一つの作品として統一感と多様性を両立させています。

このアルバムは、ABEDON AND THE RINGSIDEというバンドの音楽的可能性と、型にはまらない独自のスタイルをリスナーに強く印象づける一作となりました。彼らの創造性と演奏力が詰まった『ROUND 2』は、ロックミュージックにおける多様なアプローチを示唆する作品として、その価値を確立しています。

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