Raspberry Pi OS

Raspberry Pi OSとは

Raspberry Pi OSは、Raspberry Pi財団が公式にサポートしている、Raspberry Piの標準オペレーティングシステムです。Raspberry Pi上で動作する多くのOSが存在しますが、Raspberry Pi OSは公式サポートを受けているため、最も標準的なOSとして利用されています。現在も活発にメンテナンスが続けられており、Raspberry Piの進化とともに最新の状態に保たれています。

2013年以来、Raspberry Pi財団によってRaspberry Piの主要OSとして提供されており、そのベースにはDebianが採用されています。Debianにはバージョン番号がありますが、Raspberry Pi OSにはバージョン番号が存在しないため、リリース日とカーネルバージョンで識別されます。また、Pythonが標準でインストールされている点も特徴です。

豊富な付属ソフトウェア

Raspberry Pi OSには、Chromium、VNC、GIMP、nginx、Blender、Tesseract OCR、Sonic Pi、Scratchなど、多様なソフトウェアが同梱されています。これらのソフトウェアは、Raspberry Piの活用をすぐに始められるように、あらかじめインストールされています。さらに、Debianに対応したソフトウェアであれば、ターミナル画面で「apt install」コマンドを実行するだけで、インターネット経由で簡単にインストールできます。

さまざまなバージョン

Raspberry Pi OSには、用途や環境に合わせて選べるいくつかのバージョンが存在します。

Raspberry Pi OS with desktop and recommended software: Raspberry Pi財団が推奨するソフトウェア一式がインストールされたバージョンです。初心者でもすぐに使い始められるよう、便利なツールやアプリケーションが豊富に含まれています。
Raspberry Pi OS with desktop: GUIのX Window Systemをはじめ、ブラウザ、ワープロ、表計算、プレゼンテーションなどのオフィススイートが同梱されたバージョンです。一般的なデスクトップ環境として利用でき、4GB以上のOSパッケージと8GB以上のSDカードが必要です。
Raspberry Pi OS Lite: 軽量版で、GUIは搭載されていません。コマンドラインのみで操作するため、システムリソースを節約できます。X-Windowや付属ソフトウェアは含まれていませんが、Linux Standard Baseで参照されるコマンドやDebian固有のコマンド、Raspberry Pi OS固有のコマンドなどが利用可能です。これらのコマンドは、Desktop版でも利用できます。

Raspberry Pi OS Desktop

PCやMac向けには、Raspberry Pi Desktopという名称で提供されています。これにより、Raspberry Piの環境をPCやMacでも体験できます。

歴史

Raspberry Pi OSは、当初「Raspbian」という名称で、マイク・トンプソンとピーター・グリーンによってDebianをベースに非公式に開発されました。最初のビルドは2012年7月15日に公開されました。Raspbianの特徴は、Raspberry Piに搭載されているARM CPUの浮動小数点演算命令を高速化する「hard-float」機能と、CPUの高機能命令群を活用することでパフォーマンスを向上させた点です。

2020年5月には、正式名称が「Raspbian」から「Raspberry Pi OS」に変更され、PCとMac向けのRaspbianの名称も「Raspberry Pi Desktop」に変更されました。

導入方法

Raspberry Pi OSの導入には、いくつかの方法があります。

SDカードをフォーマットし、Raspberry Pi OSのDesktopまたはLiteを直接書き込む。
Raspberry Pi公式の「Raspberry Pi Imager」を使用して書き込む。
Raspberry Pi OSがインストール済みのmicroSDカードを購入する。
NOOBSをSDカードにコピーし、Raspberry Pi OS本体をインストールする。
NOOBS LiteをSDカードにコピーし、Raspberry Piで起動後、インターネット経由でRaspberry Pi OSのDesktopまたはLiteをインストールする。

関連する配布版

Raspberry Pi OSと互換性のある配布版として、以下のようなものがあります。

Bodhi Linux
Puppy Linux (Raspup)

まとめ

Raspberry Pi OSは、Raspberry Piの利用に不可欠な標準OSであり、豊富な機能と柔軟性を備えています。さまざまなバージョンが提供されているため、ユーザーのニーズに合わせて最適な環境を構築できます。また、コミュニティによるサポートも充実しており、初心者から上級者まで幅広く利用されています。

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